実例に学ぶ!編み込み模様の配色に悩んだときの解決方法

制作記録

複数の色を使って模様を描く編み込み模様。

みなさんは編み込み模様を編むときに、どのように色を合わせたら良いのか悩んでいませんか?

基本的には「好きな色を自由に使えばいいのさ」と思っていますが、色合わせが苦手な人は多いようです。

わたしは編み込み模様を編んだ経験自体は少ないけど、色合わせのコツ自体はwebデザイン・グラフィックデザインの経験から何となく身に付きました。

今回はわたしの中にあった色合わせの「何となく」を実例をもとに字に起こして、編み物に活かせるようにまとめてみました。

ちなみに今回の実例に挙げた作品は、こちらの記事で紹介しているEmber Sweaterの色違いです。

編み込み模様の中級者向け!?難しいけどカワイイEmber Sweater
みなさんは編み込み模様は得意ですか? わたしは苦手です! でもInstagramで一目惚れしたEmber Swaeterがどうしても編みたくてがんばりました!
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最初に使いたい色を一つだけ決める

色合わせに悩んだらまずは、使いたい色を一つだけ決めましょう

最初に使いたい色を一つだけ決めておくと、その色と相性が良い色を絞り込みやすくなります。

これはデザイン業務でよく使っていた方法です。

例)コーポレートサイトのデザイン
コーポレートサイトとは企業の公式サイトであり、企業のプロフィールサイトとも言えます。
企業はその企業を象徴するイメージカラーを持っていることが多く、それをコーポレートカラー(またはシンボルカラー)と言います。
コーポレートサイトはコーポレートカラーを軸に色使いを展開していくことが多いです。

わたしがコーポレートサイトの制作を受注するときには、すでにコーポレートカラーが決められているので、最低1色は「これを使う」というしばりがある状態です。

しばりがあるというのはデメリットのように思うかも知れませんが、初心者や慣れていない人・色選びが苦手な人には、少しのしばりがあった方が残りの使用色を決めやすくなります。

コーポ―レートカラーはクライアントから指定される色となりますが、編み込み模様を編む場合に置き換えると、自分で「使いたい色」を一つだけ決めるということになります。

この一色は自分が好きな色が良いでしょう。

ちなみにわたしは自分が着たいものを編むことが多いので、自分用の場合はワードローブに合う、又はあまり持っていない色を選ぶことが多いです。

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使いたい色と相性の良い色を見つける

絶対に使いたい色が決まったら、次は相性の良い色を見つけましょう。

よくある相性の良い色というのは、同じ系統の色の濃淡や無彩色(白、黒、グレー)が鉄板だと思っていて、これらの組み合わせもよく使いますが、もう少し色使いに遊び心が欲しい時は以下のような方法が参考になります。

相性の良い色を見つけるヒント

「相性の良い色が分かってれば苦労しないわ!」と思う人もいるかもしれませんね。

実は相性の良い色を見つけるヒントは身の回りにたくさんあります。
例えばわたしは以下のものをよく参考にしています。

  • テキスタイル
  • 配色の参考書
  • インコや猫などの動物

このリストの上二つはすでに参考にしている人も多いと思いますが、「インコってなんやねん」と思う人もいそうですね。

インコってたくさんの種類がいて、すごくきれいな色使いの子が多くないですか?

例えば↓。

この子たちの色を抽出してみます。

有彩色同士が並んだときに「なんだかくどい?」と思ったら、無彩色を挟んだりします。

どうでしょう?

また、実際に猫の柄をイメージした編み糸もあります。

Keito Onlin Shop

こちらのショップで取り扱っている、「ミャウコレクション」は猫の毛柄をイメージして染色しています。

このように動物が持っている色使いの他にも、紅葉、新緑、海、空など、自然界には色合わせのヒントに溢れています。

このようなヒントから色を決めて、毛糸で並べてみると「なんか違う」と思ったりすることは当然ありますが、色合わせで悩んで沼に嵌ったら、抜け出す一つの手段としては有用だと思います。

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【実例】このセーターの配色はこうやって決めました!

ここからは、実際に完成したセーターを例にして、どのように配色したのかを見ていきましょう。

使いたい一色は紫

このセーターを編むうえで外せなかったのは、Mythica FibersさんのRustic Silkの朝顔です。

こまかく観察するとたくさんの色が見えますが、ベースは紫ですので、紫と相性の良い色を探します。

相性の良い色の候補

ここでわたしは【テキスタイル】を参考にしました。
イメージしたのは朝顔柄の浴衣です。

なんで朝顔柄の浴衣をイメージしたのかと言えば、糸の色の名前が『朝顔』だったから。

まず、googleの画像検索で「朝顔 浴衣」と検索します。

ざざっと数点の朝顔柄の浴衣の画像を見て良く使われている色をピックアップします。
すると以下の3色に絞られました。

  • ピンク
  • 黄緑

今回編むセーターは、メインカラー(MC)と、配色糸2色(CC1とCC2)
の計3色使いますので、必要な色はあと2色です。

この中でピンクを選ぶとすでに決まっている紫に色が近くて、映えないかなと思い、ピンクは除外しました。

「紫に色が近いからピンクは除外」と言いましたが、これは「どの色をどう目立たせたいか」という編む人の意図により変わります。今回わたしは紫ベースの糸をキレイに見せたいので近い色は避けました。

紫をMCにするかCCにするか

使用糸

さて、使用する3色が決まったのは良いのですが、次は色の配置に悩みますよね。

使う色数から、配置の仕方は6パターンになりますが、その中から『良さげな配置パターン』を決めるにも、ちょっとしたコツがあります。

色の配置の決め方

わたしは色の配置に悩んだ場合、自分の顔周りに、一番似合いそうな色を配置したり、手持ちのワードローブとのバランス(コーディネートしやすいか)で決めています。

ということで、わたしの顔にすべての色を当ててみます。

紫⇒なんか違う
紺⇒あり
黄緑(実際に使ったのはネオンカラーの黄緑)⇒一番似合う

とこんな感じ。

次に、コーディネートしたい手持ちのボトムスに当ててみます。
※今回のメインビジュアルに使っているスカート

顔周りには黄緑が一番合っていたのですが実際のコーディネートを考えると、スカートの黄色と紺色が隣接するのがキレイだったので、このようにしました。

MC/ハマナカフラックスK-17(ハマナカ)
CC1/Rustic Silk-朝顔(mythicafibers)
CC2/コットン・ニィート-ライムグリーン(毛糸ピエロ)

模様に応じてパターンの配色ルールを破る

基本的には前述で決めた配色で編もうと思っていたのですが、チャートごと(模様ごと)にCC1とCC2、MCとCC1を入れ替えています。

その理由は、紺と紫が隣り合うと紫が引き立たなくなったり、紺と黄緑が隣り合うと毒々しくなったりしたから。

MC、CC1、CC2を入れ替えパターン

この配色の入れ替えパターンは行き当たりばったりで決めました。

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まとめ

一記事書けるくらいに綿密に計算した結果の作品ですが、編んでいる最中は「うーん。これってどうよ?」と思いながら編んでいました。

この記事を読んでくれたみなさんが、あのセーターの配色をどう評価するのかはわかりませんが、わたし自身はかなり気に入っていますし、TwitterやInstagramで高評価いただけてフォロワーさんが増えたので、ちょっと自信あります。

デザイナー職のときに色彩検定1級を持っている先輩がいましたが、「役に立たんよ。結局はクライアントの好みでしかない。」と言い切っていましたw

色相環だとか、ダルトーンだとか、そんな専門的な言葉で難しく考えないでも、世の中には参考になるものがたくさんあります。

「あ、これいいな」と思った色使いを真似てみるのが、色使いの悩みの解消には一番の近道だと思います。

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