先日、ChatGPTとGoogle検索の学習効果を比較した研究の記事を読みました。
ChatGPTを使ったグループの方が、Google検索を使ったグループよりも学習効果が低い傾向を示したそうです。
この結果を読んでわたしは「まぁ、そうだろうねぇ」と思いました。
だって、私自身がそう感じていますから。
ChatGPTとGoogle検索、学習効果に差が出る?
今回題材にした研究とは、以下のようなものです。
米ジョージア工科大学などの研究チームは、「栄養と食事の計画」をテーマに8日間の実験を実施しました。
その結果、ChatGPTを使ったグループはGoogle検索を使ったグループに比べて、知識の応用力や情報の比較評価力が低い傾向を示したそうです。
研究では、ChatGPTが原理原則よりも完成された答えを提示しやすいことや、ユーザーが複数の情報を比較検討しなくなることが理由として挙げられていました。
たしかにGoogle検索では複数のサイトを見比べますが、ChatGPTは整理された一つの答えを返してくれますよね(プロンプトの書き方によりますが)。
その一つの答えをユーザーが「唯一の答え」として受け止めてしまいやすいのでしょう。
この研究結果を読んだとき、私は「これって編み物でも同じことが起きているのでは?」と思いました。
元記事はこちら↓

編み物で考えるとChatGPT vs Google検索の研究結果に納得できる
例えば、私は最近ChatGPTを使って、
- ゲージが合わない時のサイズ予測
- 糸の置き換え相談
- 英文パターンの理解
- サイズ調整の検討
などを行っています。
とても便利です。
とくにサイズ調整の計算は重宝しています。
以前、分散減目の計算に挑戦したことがありますが、途中で心が折れ、結局ほかの人に助けてもらった経験があります。
今ならChatGPTに相談すればすぐに答えが返ってきます。
ただ、それは「便利になった」という話であって、「学習した」という話とは少し違います。
もし私が計算結果だけを受け取り、なぜその数字になるのかを考えなければ、次の作品で応用することはできません。
実際に、いまだにわたしは計算式が分かりませんからね。
計算するための必要な情報は知っているけど。
ちなみに今、“ゲージが合わない時に仕上がりサイズをAIに予想してもらう”という実験をしています。
この実験だって、計算式がわかっていればわざわざAIを使うこともないんですけどね。

ChatGPTは答えをくれる。でも理由までは学べない

研究では、ChatGPTは「完成された解決策」を提示しやすいと指摘されていました。
これは編み物でも同じです。
前述のとおり、わたしはサイズ調整で計算する際には、必要な情報をChatGPTに伝えるけど、計算はやってもらっています。
そしておそらくその計算に基づいて編んでいけば失敗はないでしょう(手元が狂わない限り)。
だけど、「どういう理屈でその計算式なの?」ということは理解できていません。
例えば「この糸を代用糸にして編める?」と聞けば答えは返ってきます。
ただ私は、うっかり答えだけを受け取ってしまうことがあり、
「なぜそう判断したの?」
と掘り下げて聞かなければ、考え方までは身につきません。
そうです。
自分で掘り下げを忘れると「なぜ」が分からないままなのです。
ちなみに代用糸の考え方のひとつはこちらです。

ChatGPTからの答えを受け取るだけでは、この記事のように自分の知識として身につけて、言語化や応用ができるようにはなれないのです。
ChatGPTに限らず、AIはどんなことでも聞けばなんでも答えてくれます。
(そしてたまに嘘をつくw)
でも、
- なぜその糸が向いているのか
- なぜそのサイズ計算になるのか
- どんな前提で成り立っているのか
までは、自分から掘り下げなければ身につきません。
便利だからこそ、考える工程を飛ばしてしまう危険があります。
本当の問題はAIの間違いではない
以前、AIで作成したかぎ針編みの記号表が配布され、その内容に誤りがあると指摘されているのを見かけました。
これはAIが間違えたというだけの話ではありません。
もっと本質的な問題があります。
それは、
利用者自身が間違いを見抜けなかったこと
です。
もし十分な知識を持った人が同じ表を作ったなら、「この記号は違うな」と気付けたでしょう。
しかし、その記号表を作った人が学習途中だったため正誤に気が付けず、AIの出力をそのまま配布してしまいました。
これは編み物に限らず、どんな分野でも起こることです。
AIを使いたい人ほど基礎知識が重要になる

AIが登場したことで、「AIがあるんだから勉強なんてしないで良いんじゃないの?」という話を見たことがあります。
でも私の実感は逆です。
AIを安全に使うためには、
- 基礎知識
- 判断力
- 検証する力
が必要になります。
なぜなら、AIは間違えるからです。
そして、その間違いに気付けるかどうかは利用者の知識にかかっています。
AIがあるから勉強が要らない・基礎知識が要らないのではありません。
AIを使うために基礎知識が重要になる。
私はそう感じています。
学びの土台はやはり本だと思う
この研究を読んで改めて思ったのは、学びの土台はやはり本だということです。
本には著者が考え抜いた学習順序があります。
ゲージを理解し、編み地を理解し、その先にサイズ調整がある。
本ならば、そうした知識の積み重ねが一冊の中に体系的に整理されています。
基礎から段階を踏んで技術を身につけていくことで、AIのアシストを正しく活かせる目が養われるのです。
先日、東京大学の研究チームによる研究で、紙のマンガでの読書が電子書籍に比べて、その後の脳活動を効率化することが明らかになりました。紙で読むことで、内容の理解や情報の統合がよりスムーズに行われるという結果です。
詳しくはこちら↓
もちろん、この研究はマンガを対象にしたものであり、編み物本を直接調べたものではありません。
それでも私は、本で学ぶことの価値を改めて感じます。
Google検索は知りたいことを素早く調べるのに向いています。
ChatGPTは自分の状況に合わせた答えを得るのに向いています。
しかし、それらは基本的に「点」の情報です。
一方、本は知識と知識をつなぎ、「線」や「面」として理解させてくれます。
- 本で基礎を学ぶ
- Googleで複数の事例を調べる
- ChatGPTで自分の作品に応用する
という流れが、私自身にとっては編み物を学ぶ上で一番良い方法かもしれない、と思っています。
おわりに
ChatGPTで編み物は上達するのでしょうか。
私は「使い方次第」だと思います。
答えを受け取るだけなら学習にはなりません。
でも、
「なぜそうなるのか?」
を考えながら使うなら、とても強力な学習ツールになります。
AIは先生ではありません。
かといって、ただの検索エンジンでもありません。
優秀だけど、ときどき間違えるアシスタントです。
だからこそ、利用する側にも知識と判断力が求められます。
本で土台を作り、Googleで視野を広げ、AIで応用する。
少なくとも今の私にとっては、この順番が一番しっくりきています。
