あちこちの毛糸メーカーから、7月からの価格改定(値上げ)のアナウンスが相次いで発表されましたね。
在庫の山(いわゆる罪庫)がいくらあろうとも、「値上げ」の文字を見た瞬間に駆け込み消費に走りたくなるのがニッターの人情というもの。
ご多分に漏れず、私の心も2つのプロジェクトの糸をめぐって激しく揺れ動いていました。
エントリーNo.1:パピー「ブリティッシュエロイカ」
『KNIT BOOK_のNO.04 ARAN & HONEYCOM BRIOCHE』の指定糸。
色味確認用にすでに1玉キープしてあるほどの本気度ですが、現在のプロジェクト渋滞により未着手。
エントリーNo.2:ニッティングバード「いつも」
数年前からずっと編みたくてたまらない『Gloria Sweater』。
ベースとなる「またね」は確保済み。

問題は、引き揃え用のモヘア「いつも」をイエローにするかホワイトにするか決めきれないまま、値上げのニュースが飛び込んできたこと。
6月後半の私は、頭の中でずっと「値上げ前に買うべきか、でも別件で大きな出費の予定もあるし……」ともんもんと思案。
「今買わなくていい理由」と「今買うべき理由」を天秤にかけ続けた結果、私が最後にポチったものは何だったのか? 今回は、値上げの波に呑まれたニッターのリアルな葛藤の記録です。
7月から毛糸の値上げラッシュ。対象メーカーを整理してみた

ここ数年、世界的な原材料や物流費の高騰でじわじわと編み糸の値上げが続いていますが、私がキャッチした情報だけでも、この7月から以下の主要メーカーが値上げに踏み切ります。
- DARUMA(横田)
- ハマナカ
- パピー(Puppy)
- ニッティングバード(Knittingbird)
自分にとって影響力の大きすぎるお馴染みのメーカーばかり4社も!
編むことが確定している『Gloria Sweater』のモヘアと、アランセーター用の「ブリティッシュエロイカ」は、どうせいつか買うなら値上げ前のいま確保しておくべきなのでは……?
迷いは深まるばかりです。
「まだ着地点が決まっていない糸」は慌てて買わない

買うべきか、見送るべきか。
悩む理由はみんな同じですよね。
「すでに家には一生分の糸がある」、あるいは「今月の予算が……」のどちらかです。
ここで私は、一度冷静になるためのステップを踏むことにしました。
AIを巻き込んでも『Gloria Sweater』のモヘアは決まらなかった
まずは色選びで迷走していた『Gloria Sweater』の引き揃え問題。
今回はAI(ChatGPT)の手を借りて、ベースの糸にいろんな色のモヘアを引き揃えたときのイメージ画を生成してもらい、シミュレーションを試みました。
結果は以下の通り。
△ ニッティングバード「いつも」イエロー:悪くないけれど、ちょっと黄色が強すぎるかも。
× グレーベージュ:落ち着きすぎて、作品の良さが沈んでしまう。
× ミント:作品全体がミントに引っ張られすぎる。
× ベビーピンク:目指したい世界観とガラリと変わってしまう。
△ オフホワイト:おとなしすぎて、せっかくのベース糸の魅力が半減するかも。
ここまで悩んで、ハッと気づきました。
何年も温めている大切なプロジェクトだからこそ、妥協した糸では編みたくない。
納得のいく糸なら「値上げした後に買ったって絶対に後悔しない」のだから、焦って今買う必要はない、と。
値上げ額を具体的に計算して冷静になろう
では、もう一方の候補、パピーの「ブリティッシュエロイカ」はどうでしょう。
こちらは編む色も決まっています。
Lサイズで編むとして、必要数は18玉。
18玉を値上げ前と値上げ後で購入した場合の、正確な差額を計算してみました。
【ブリティッシュエロイカ 18玉の価格差シミュレーション】
- 値上げ前の定価:¥770×18=13,860
- 値上げ後の定価:¥860×18=15,480
- 実際の差額:プラス ¥1,620
……あれ? 案外大したことない。
出社したときのランチ外食を2回ほど我慢すれば、十分に賄えてしまう差額です。
しかも、ネット通販やセール、あるいは貯まっている楽天ポイントなどを上手く活用すれば、このくらいの差額は簡単にペイできてしまいます。
「値上げ前にまとめ買いしなきゃ!」という義務感から、一気に解放された瞬間です。
検討していなかった「ノーマークの糸」がすべてをひっくり返す
『Gloria Sweater』のモヘアはまだ決まらないし、ブリティッシュエロイカの差額もそこまで痛手ではない。 そう結論を出して頭を冷やした直後、ふと脳裏をよぎったものがありました。
「あれ? そういえば ITORICO(イトリコ) さんに、ちょうどいいモヘアってなかったっけ?」
ショップのページを検索してみると……ありました。
その名も、FLUORITE(フローライト)のライトイエロー。
なぜ今まで見落としていたのでしょう。
ニッティングバードの「いつも」のイエローは毛足が長くて可愛いけれど、発色が強すぎる。
かといってオフホワイトではベースの糸がかすんでしまいそう。
そんな私のワガママな理想に、このライトイエローがピタッとハマったのです。
「ベースのニュアンスは残したい。でも、ほんの少しだけ引き揃えで遊び心が欲しい」
という難題への完璧なアンサーでした。
しかも、このFLUORITEは在庫限りで廃盤とのこと。
値上げより廃盤が怖い!!!!
ポチ…(`・ω・´)ノ凸
……あ、ちなみに。
ITORICOさんで決済する直前、実は michiyoさんの「Derick2」のキット代を支払ったばかりだった、ということだけは白状しておきます(物欲の連鎖が止まらない)。
結局、値上げ前に何を買ったの?

値上げ前の大騒ぎの末、私が手に入れたのはブリティッシュエロイカではありませんでした。
あんなに悩んだニッティングバードの「いつも」でもありません。
まさかの、検討リストにすら入っていなかった ITORICOのFLUORITE。
「なんでだよ!」と自分でも突っ込みたくなりますが、後悔は微塵もありません。
今回の一件で改めて痛感したのは、「値上げするから買う」のではなく、「編みたい明確な理由(ときめき)があるから買う」のが、大人のお金の使い方だということ。
- ブリティッシュエロイカは、値上げ後でも絶対に編みたいから、急がない。
- Gloria Sweaterのモヘアも、納得がいかないなら焦って買わない。
- でも、今回出会ったライトイエローは「これだ!」と魂が震えたから、今買う。
一見、ただの駆け込み消費に見える迷走劇ですが、これこそが毛糸選びの真理なのかもしれません。
まとめ:毛糸選びは合理性だけでは測れない
この記事から学べる「賢い毛糸の買い方テクニック」は、おそらく何もありません(笑)。
あえて言うなら、
という教訓くらいでしょうか。
毛糸選びというものは、コスパや合理性だけで割り切れるものではありません。
ああでもない、こうでもないと迷い、比較し、脳内で何遍も編み、そして「これだ!」と思える運命の糸に出会う瞬間。
その迷走のプロセスすべてが、編み物という趣味の愛おしい楽しさなのだと思います。
さて、今年の冬は、この奇跡的な組み合わせで『Gloria Sweater』を編みます。
きっと次のプロジェクトでも、 「この糸かな?」 「いや、こっちか?」 「AIに聞いてみよう」 「あ、予定外のめちゃくちゃ可愛い糸見つけた」 を性懲りもなく繰り返すのでしょう。
ええ、認めます。
私はどうしようもない「毛糸バカ」です。
きっと一生こうって迷走を続けるんだろうなぁ。
( ˘ω˘ ).。oO(

