ゲージが合わない。でも編みたい|AIで仕上がりサイズを予測して編んでみた

制作記録

使いたい糸で編みたい。
でも指定ゲージが出ない。

だったら、AIに自分のゲージで編んだ場合の仕上がりサイズを計算してもらえばいいのでは?

そんな思いから始まったプロジェクト、Ridge Sweater。

前編ではChatGPTとGeminiを使って仕上がりサイズを試算し、実際に編むサイズを決めました。

そして今回、ついにRidge Sweaterが完成しました!

果たして、AIが予測したサイズに仕上がったのでしょうか?

それでは結果発表です!

AIにサイズを決めてもらったRidge Sweater、ついに完成!

指定糸とは別の糸で編みたかったRidge Sweater。

今回代用した糸では指定ゲージを再現することができませんでした。

そこで、実際に使う糸でスワッチを編み、自分のゲージを確認。

そのゲージとパターンに記載されている各サイズの仕上がり寸法をもとに、AI(ChatGPTおよびGemini)に「どのサイズを選べば、私が希望する仕上がり寸法に近づくのか」を計算してもらいました。

その結果、今回編むことにしたのはサイズ5

ここまでの詳しい計算方法や、AIに入力した条件については前編で紹介しています。

ゲージが合わない。でも編みたい|AIで仕上がりサイズを予測してみた
AIって便利ですね。編み図を作るにはまだまだな印象ですが、計算はめちゃくちゃ得意です。今、わたしはRidge Sweat…

そして――

ついに完成しました!

見た感じは、かなり良さそうです。

では、ここから答え合わせをしていきます。

AIの予測は当たったのでしょうか?

AIが予測したRidge Sweaterの仕上がりサイズ

まずは、前編でAIに計算してもらった仕上がりサイズをあらためて整理します。

今回のRidge Sweaterはトップダウンで編むデザインなので、着丈については編みながら調整できます。

そのため、今回の検証では着丈を対象から外しました。

また、私の場合、セーターが「着られるか、着られないか」を判断するうえで特に重要なのがバストとアームホールです。

そこで今回は、この2か所に絞ってAIの予測値と実際の仕上がりを比較します。

AIの予測サイズと実際の仕上がりを比較

採寸箇所AIの予測実測
バスト約116cm96cm– 20cm
アームホールの渡り約31.3cm32cm+0.7cm

……え?

バスト、20cmも違うんですけど。

一方で、アームホールはわずか0.7cm差。

どういうことだよ!!

AIの予測、当たっているのか外れているのか、よく分からない結果になりました。

着られればプロジェクト自体は成功だ!

まぁ、AIの計算はなんだかなぁ。

だけど、今回の目的は「AIに正確な数字を出してもらうこと」だけではありません。

そもそも私は、

「ゲージが合わなくても、AIを使えば自分に合うサイズを選んで編めるんじゃない?」

と思って、このプロジェクトを始めたわけです。

だったら、最終的には――

いい感じに着られたら成功!

ということで、着てみました。

……いいじゃん!

いいじゃん!これ!!

ジャストフィット!!
Tシャツのような軽快さがあります。

身幅は思っていたよりコンパクト。

でも、窮屈という感じではありません。

ということで、

Ridge Sweaterという編み物プロジェクト自体は、無事成功です。

……しかし。

ここで終わってはいけません。

だって、今回のテーマはAIによる仕上がりサイズの予測なのですから。

予測が外れたのはなぜ?

今回の検証は、

ゲージが合わなくても、自分のゲージで目数・段数を割り出さなくても、サイズ展開が豊富なパターンであれば、AIに仕上がりサイズを計算してもらい、希望のサイズに仕上がるサイズを選んで編めばいいんじゃない?

というところから始まりました。

ところが、実際に編んでみた結果は、

バストは20cmの差。

一方で、

アームホールは0.7cmの差。

この結果を見る限り、今回の方法を「AIに計算させれば、ゲージが違っても狙ったサイズにできる!」と結論づけることはできません。

むしろ、今回の検証ではその考えが見事に打ち砕かれましたw

では、なぜこんな結果になったのでしょうか?

水通しの影響?

まず考えたのが、水通しによる変化です。

今回使用した糸の素性はSuper Long staple hightwist Cotton 100%。
(コットン100%の強撚糸(きょうねんし=撚がとても強い))

水通し前に試着をしてみたのですが、少しガサガサしていて、スカスカ気味。

サイズ感は程よく体に沿うようなラインになりました。

しかし水を含むと驚くくらいに編み地が固くなりました

水通し前

水通し後しっかり乾くと、糸水通し前より少しふっくらしていました。

上の水通し前の画像と、下の水通し後の画像のねじりゴム編みの部分を見比べると、水通し後の方が目が詰まっているのがわかると思います。

水通し後

思ったよりも小さく仕上がったのは、水を含むと編み地が固くなり伸縮性がなくなるという性質の影響でしょうか。

でもねぇ、そもそもゲージは水通し後に取っているのですよ。
それに乾くと柔らかくなるし…。

水通しによる変化だけでバストが20cmも縮んだとは考えにくい

ちなみに肌触りはガサガサしていたのが、リネンの様なシャリ感があり、着心地はけっこう良いです。

じゃあ、編み手の問題?

ここも当然、考えなければいけません。

手編みは機械編みと違いますからテンションを一定に保ち続けるのはけっこう難しい。

同じ人が同じ糸を使って編んでも、編む場所や編むタイミング、模様の有無などによって、手加減が微妙に変わることがあります。

AIが出した数字をもとに編んだとしても、最終的な仕上がりは人間である私の手が決め手になるのです。

AIが計算した数式どおりに、完全に同じ密度で編めるわけではありません。

そもそも、AIへの条件設定が十分だった?

ここが、今回一番考えたいところです。

AI関係なしに、ゲージから仕上がりサイズを計算するための数式自体はあります。

つまり、「ゲージが違うから、仕上がりサイズを予測できない」という話ではありません。

きちんとパターンの構造を読み取り、必要な数値を拾い、ゲージを正しく反映させれば、計算すること自体は可能なはずです。

ということは、今回うまくいかなかった理由は、

AIが計算できない問題だったのではなく、私がAIに与えた情報や条件、あるいはパターンの読み取り方に問題があった可能性が高い。

ここは、もう少し検証してみる必要がありそうですね。

そして、これは私自身の編み物の知識や技術にも関係してきます。

今回の結果を見て、「AIがダメだった!」で終わらせるのは簡単です。

でも、それでは面白くありません。

むしろ、「なぜアームホールはほぼ当たったのに、バストは20cmも外れたのか?」を考えたほうが、次に同じことをするときの役に立ちますよね。

今回の検証でわかったこと

正直に言うと、今回はちょっと悔しいです。

考え方そのものは悪くないと思うんですよ。

「ゲージが合わないなら、別サイズを選ぶことで希望のサイズに近づけられないか?」

という発想は、今でも有効だと考えています。

ただ、今回の結果から分かったのは、

AIの予測値が近くても、糸の性質による影響や編み手の癖まで予測できるわけではない。

ということ。

そしてもうひとつ。

AIに計算してもらうだけでは、ゲージの違うパターンを正確にサイズ調整できるとは限らない。

ということです。

今回、予測どおりのサイズにはなりませんでした。

でも、実際に着てみたら、Ridge Sweaterはいい感じに仕上がりました。

だから、AIによるサイズ予測の実証としては失敗。

でも、私のRidge Sweaterという編み物プロジェクトとしては成功。

そんな、ちょっと不思議な結果になりました。

そして私は、この「ゲージが合わないときのAI頼り」を、もう少し探究してみたいと思っています。

今回のプロンプトも含めて、AIにどんな情報を渡せば、もっと精度の高いサイズ予測ができるのか。

これはもう少し試してみたい。

また、このプロンプトを使って「こんなパターンを編んでみた」という実例も増やしていけたら面白そう。

もし、

「こういう情報をAIに渡したら、もっと正確に計算できるんじゃない?」

とか、

「私も同じような方法で編んだことがあります!」

という方がいたら、ぜひコメントで教えてください。

私も次に「ゲージが合わない。でも編みたい!」となったときの参考にしたいと思います。


今回、なぜサイズ5を選んだのか?

そもそものゲージの問題から、ChatGPTとGeminiを使ったサイズ計算まで、今回のプロジェクトの始まりは前編で紹介しています。

ゲージが合わない。でも編みたい|AIで仕上がりサイズを予測してみた
AIって便利ですね。編み図を作るにはまだまだな印象ですが、計算はめちゃくちゃ得意です。今、わたしはRidge Sweat…