また、「コンサル」という仕事そのものや、実際に結果を出している誠実なコンサルタントを否定する意図もありません。
昨シーズンから、編み物界隈がかつてないほどの盛り上がりを見せています。
新しい感性の作品が次々と生まれ、若い世代にも編み物が広がっている。
30年近く編み物を続けてきた中で、最高の盛り上がり方だと思っています。
しかし、この熱狂の中で、私は一つだけ懸念していることがあります。
それは、かつてハンドメイド界を襲った闇が、形を変えて繰り返されようとしているのではないか、ということです。
ハンドメイドの「闇」を見つめ続けた一人の記録者

かつて、ハンドメイド界隈の不都合な真実を、冷静な観察眼で発信し続けていた「マダムゆき」さんというブロガーがいました。
彼女が書いていたのは、誰かを断罪する記事ではなく、当時のハンドメイドブームの裏側で何が起きていたのかを記録し続ける文章だったと、私は思っています。
彼女はいわば、界隈の「監視員」のような存在でした。
キラキラした「好きを仕事に」という言葉の裏に潜む、主婦の起業ごっこの危うさや、実力不足を埋めるために走る高額コンサルの実態を明かしてくれていました。
「売れっ子ハンドメイド作家がコンサルやってる暇ないでしょ!」と言っていたのもたしかマダムゆきさん。
この言葉はわたしもよく使わせてもらっています。
このような突っ込みどころを、忖度なしに言語化し、警鐘を鳴らし続けてくれたのです。
彼女のブログは、界隈の暴走を止める「ブレーキ」であり、私たちがカモにされないための「教科書」でもありました。
しかし現在、そのブログは閉じられ、過去の失敗から学ぶための貴重なアーカイブが失われつつあります。
これは、今の編み物ブームにとって大きな損失だと私は感じています。
「儲かる」という言葉が招いた、レッドオーシャンの悲劇
かつて、メディアが「ハンドメイドは儲かる」と大きく煽った時代がありました。
そこでは、経営の知識も原価計算もままならないまま「年収〇〇〇万円」と謳う作家たちが取り上げられました。
実際には、生活の基盤が他にあるからこそ成り立つ「趣味の延長」であったとしても、それを知らない人たちは夢を見て参入します。
やがて、本職のプロや美大出身者などの実力者が参入してくると、にわか作家たちは一気に売れなくなりました。
そこで賢明な人は撤退しましたが、一部の人は「作家としての実力がないまま、コンサルタントになる」という道を選んでしまったのです。
さらにはスピリチュアルに傾倒してトンでも科学を謳う人まで出てきました。
大人かわいいモテ服を作る作家(服作りを根本的に理解してない人)が作家を辞めて、なぜか味噌づくりを始めて、トンでも理論をかましてお医者さんが個人ブログでぶった切ったのはとても面白かったけど。
そんな、確かな知識も技術もない人が、中身のないノウハウを、漠然とした不安を抱える初心者に売る。
そんな「闇」が、かつて確かに存在しました。
未熟な技術と乏しい実績が「闇」に変わる瞬間

現在の編み物ブームの中でも、やっぱり同じような空気を感じます。
なお、誤解のないように書いておくと、知識や経験を言語化し、再現性のある形で伴走する誠実なコンサルタントが存在することも、私は知っています。
問題なのは「コンサルタント」という肩書きではなく、実体のない成功談や不安を煽る言葉で技術や努力の不足を覆い隠すやり方です。
昨年のことでしょうか。
ちょっと編めるようになった初心者の人が、我流の危うい編み方のままフォロワーを増やして、そのままの勢いで「教えます!」と宣言しているのを見ました。
かわいい糸で編んでいたからかわいく見える作品だったのですが、人に教えられるような技術の持ち主とは思えませんでした。
このときわたしは正直「あぁ、危なっかしいな……」とハラハラしました。
これが、かつてのハンドメイド界隈が辿った「闇」への入り口のひとつなのだと思います。
最初は純粋な「作ることが好き」だったはず。
でも、フォロワー数という数字が実力を追い越してしまった時、人は「技術を磨く」という地道な努力よりも、ときとして「教える側」として振る舞う快感を選んでしまうことがあります。
作家としての実力が伴わないまま、「売れっ子」のふりをしてコンサルを始める。
教える中身がないから、最終的には「マインド」や「スピリチュアル」、あるいは「楽に稼げるノウハウ」といった、実体のない言葉で煙に巻くようになる。
かつてマダムゆきさんが暴いてきたのは、まさにこうした「実力の欠如を、虚飾で埋めようとした人たちの姿」でした。
私は「編み物の世界」でブログを書き続ける
マダムゆきさんは「ブログで稼ぐ時代は終わった」とブログを閉鎖しnoteに移行しました。
しかし、私は逆に、この編み物ブームでPVが増えました。
そして広告収入も増えました。
みんな、ありがと!
私は、編み物だけで生活を立てることがどれほど険しい道かを知っています。
だからこそ、私は「教祖」にも「コンサル」にもならず、一人の編み物好きとして、地に足をつけた発信を続けていきたい。
ブームの熱狂が去った後も、ここが健全で楽しい場所であり続けるように。 過去の教訓を忘れず、大好きな編み物を守り続けていきたいと思っています。
あ、ひとつ忘れてました。
先ほど「作家としての実力が伴わないまま、「売れっ子」のふりをしてコンサルを始める」という話をしましたね。
実は作家としての実力(技術)はあってもこの人のやり方には疑問がある。
という例もあります。
このnoteに書かれている教室、わたしは知っています。
かつてのフォロワーでした。
技術はあるのです。
くわしくは読んでもらえるとわかります。

その編み物教室で作成した物をお店で売ったりできるほか、卒業後もニッター(毛糸を編む人?)としてお店と契約して作成物を卸売りできるとか。
とあるのですが、お店と契約してって100g/6000円の糸で編むことが前提に思えるんだけど、そんな値段の糸で編んで、売って、資金回収できる?
教室の運営者のデザインで編んで売っていいらしいけど、その、大変古風で見目麗しいデザインで、いまどき売れるの?
という感じです。
いや、それ以前にそれを編みたいと思う人がいるの?(個人の感想です。)
編み物で稼ぎたい新規参入者のみなさま。
お気を付けくださいね。
