ここ数ヶ月の間で世界中で新型コロナウィルスが蔓延し、テレワーク化が進んだり学校が一斉休校になったりと、これまでの生活と一変しいつ終わるかわからない漠然とした不安で身も心も疲れてきている人もいると思います。
そろそろ家にいるのも飽きてきた。
家族にそんな人はいませんか?
家の中でもふだんはしないことをすると新鮮な気持ちになれます。
編み物をしない人に編み物を教えて、一緒に編むのがニッターとしては仲間が増えて嬉しいのですが、ふだん編み物をしている人を見ていても編み物にはどうにも興味がわかない人もいますよね。
それならばニッターでもたまにしかしない作業をしてみましょう。
それはほどいた糸を伸ばすこと。
糸巻き器を使っているところを見たことがない人は「これ、何に使うの?」と珍しがるかもしれません。
今まで見たことがないものを見る。したことがないことをする。
これは人にとってはいい刺激。
家にいてばかりで飽きている。
でも外にも出られない。
だったらふだん編み糸に触れることがない人に手伝ってもらいましょう。
意外と楽しんでくれるかもしれません。
下準備さえしっかりすれば慣れていない人でもお願いしやすくなると思います。準備をしたら「ちょっとこれ手伝って!」とお願いしてみましょう。
今回は協力者がいる場合のほどいた毛糸の伸ばし方を紹介します。
糸巻きなら初めてでもできる
先日お子さんがいる編み友さんが「編み物は興味ないくせに、糸巻き器だけは回したがるのよね。」と漏らしていました。そういうお子さんはけっこういるかもしれません。
わたし自身まだ編み物に興味はないけど糸巻き器はやたらと触りたくていじっていた記憶があります。
ただ作業としてお願いできるのは小学校中学年くらいからかと思います。
うまくできないとすぐに飽きちゃう子には難しいかも(わたしはそういう子供でした)。
さらに「初めてでもできる」とは言ったものの、やはり注意点やコツはあります。
協力者が大人であっても気が乗らない人に無理にお願いするとお互いにストレスが溜まるので、無理強いはやめましょう。
ただでさえストレスがたまる状況なのに家族が険悪なムードになってしまっては元も子もありません。
今こそ編み糸をほどいて再利用すべき理由
我が家は東京オリンピックが延期になったことで世帯の収入は予定よりも大きく減ることになりました。
同じように新型コロナウィルスの影響で収入が減る人が増えるとニュースでも耳にします。先が見えない不安と、外出できないストレスでイライラしてきます。
ストレス解消に毛糸を買いたくなりますが、今後の収入がどうなるかわかりませんからむやみに購入することはできません。
100円均一ショップでも毛糸は売っていますし品質も申し分ないのですが、今はシーズンオフとなったのか近隣の100円均一ショップでは毛糸の扱いはかなり縮小されてしまいました。
でもずっと編み物をしているニッターなら新しく毛糸を買う必要はありません。
誰だって編んだけど着ていない・使っていないアイテムがあるはずです。
ちょっとお財布はきつめに締めて、使っていないアイテムをほどいて別のものを編みましょう!
ほどいた毛糸を伸ばす手順
さて今回のほどいた毛糸を伸ばす方法は、
とほぼ同じ方法で、スチームをかけて伸ばし、糸を巻き取る方法です。
上記の記事では以下の手順で行いました。
1.作品をほどいてかせを作る
2.スチームをかける
3.玉巻きする
この時は並太〜極太程度の太い糸でしたが、今回は合細程度の細めの糸です。
細い糸は絡まりやすくかせを作る段階で絡まったら嫌なので、解きながら一度玉巻にします。
今回ほどくのはこれです。
編みあがったらゆるくて着てないプルオーバーです。
今回の手順は以下のとおりです。
1.ほどきながら玉巻き
2.スチーム&再度玉巻き
それではこれから二人で糸を伸ばす方法を順を追って解説します。
1.解きながら玉巻器で玉巻きする
前述したとおり、今回はかせ巻きにはしません。
玉巻器で玉巻きしながら作品をほどきます。
玉巻器の使い方はこちらを参考にしてください。
こちらの記事での画像はかせくり器から玉巻器につないでいますが、今回は直接作品の糸端を玉巻器のボビンに巻きつけて巻いていきます。
これが玉巻したものです。
糸玉の内側がかなりチリチリしています。
これからスチームをかけて伸ばします。
2.スチームをかけつつ糸を巻く
ここが今回の最大のポイントです。
スチーム担当と糸巻き担当が同時に作業します。
これによって過去記事では、一人でスチームをかけて糸巻きをするという2ステップだったところを、1ステップに短縮することができます。
道具の準備
必ず使う道具はスチームアイロン、アイロン台、糸巻き器の3点です。
あったらいいものは、スチーム担当者の手を守るための軍手やミトン(アイロン用でもキッチン用でも)です。
それでは環境を整えます。
作業台に糸巻き器を設置し、程よい距離にアイロン台とスチームアイロンをおきます。
部屋の広さや家具の配置、作業者の身長に合わせてやりやすいポジションを探してください。
毛糸玉は画像の右向こうにあります。
(アングルの都合で画像に収めることができませんでした)
毛糸をまっすぐにするためにはある程度糸をピンと張る必要があるので、アイロン台のアイロンを置き(?)に毛糸を通してから糸巻き器のボビンに糸端を巻きつけます。
試しにスチームをかけて伸ばしてみます。
かなり綺麗に伸ばせます。
このようにスチームでまっすぐに伸ばしながら糸巻きをしていきます。
スチーム担当の作業とコツ
作品をほどいて作った毛糸玉の中心から糸端を引き出しながらアイロンでスチームを当てていきます。
左手は親指と人差し指で糸をつまむように軽く添えます。
本当に左手は添えるだけ。
たまに糸玉から出てくる糸が絡まっていることがあるので絡まりを見つけたら糸巻き担当の作業を止めるよう指示して糸の絡まりをほどきます。
右手はスチームを出しながら糸に触れない程度の高さでアイロンを持ちます。
スチームで火傷しないように気をつけてください。
小さなお子さんが近くでウロウロしないように、犬や猫などのペットが側にこないようにしましょう。
アイロンを常に浮かせているのでとても疲れます。
そしてスチームが上がってくるので熱いです。対策として軍手をしてその上から使い捨ての手袋をしました。
軍手だけだとスチームが入ってきて余計に熱いのですが、その上から使い捨てのビニール手袋をすることで蒸気が中に入ってこないので熱くありません。
下からサーキュレーターや扇風機で弱風を当てて蒸気を逃すのも良いです。
あるもの、やりやすい方法で対策をとりましょう。
蒸気がきても平気な人はそのままで。
そして糸巻き担当の巻くペースに合わせてスチームをかけていきます。
糸巻きのペースが早すぎると糸が引っ張られすぎて糸の風合いが変わってしまいますから、糸が引っ張られすぎてると感じたら「ゆっくりやって」と言いましょう。
糸巻き担当の作業とコツ
糸巻きのコツは、糸の引き加減を強くしすぎないことです。
やり方は左手で糸の引き加減を調整しながら、右手で糸巻き器のハンドルを回します。
左手でゆっくり糸を引きます。
早く引いてしまうと糸にかかるスチームが足りずに綺麗に伸ばせません。
左腕をゆっくり上にあげて限界まできたら右手でハンドルを回します。
早さは動画を参考にしてください。
糸の素材によってはこれでも早いかもしれませんので、都度調整しましょう。
糸巻きを初めてする人には糸の引き加減の調整は難しいかと思いますので、実際に巻き始める前に軽く練習をしてもらいましょう。
このようにスチームかけと糸巻き、二人で協力すると毛糸を伸ばす作業が早く終わります。
そしてこれが完成した毛糸玉です。
キレイになりました。
ここまで誰かに手伝ってもらって毛糸を伸ばす方法を紹介しましたが、手軽に毛糸を伸ばしたいならゆのし器がオススメです。
緊急事態だからこそ平静を保ちましょう
毎日更新される感染者数。
自分だけでなく大切な人も今の状況を無事で乗り切れるのか。
収束したあとの世界情勢はどうなのか。
収入は?生活は?将来は?
考えれば考えるだけ不安は募ります。
ですが自分ができることは限られています。
不安にかられると人は間違った判断をし、間違った行動をします。
間違った行動の先にあるのは今よりもっとひどい状況です。
そうならないために、平静を失わないようにしましょう。
人は何かに集中しているときには余計なことは考えないようにできています。その性質を活かして、手を動かしましょう。編みましょう。
我が家は夫が仕事を失いました。わたしも仕事が減りました。
でも正しい情報を仕入れ、正しく行動すればどうにかなります。
頑張って乗り切りましょう。
数年後に「そんなこともあったよね」と笑える未来を考えましょう。
そのために編みましょう。
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