先日とっても素敵な夏糸を購入しました。
それはMythica Fibers(ミシカファイバーズ)さんの手染め糸、Rustic Silk。
Silkはみなさんもご存じのシルク(絹)のことで、原料はカイコの繭ですね。
小学生の社会の授業で習った地図記号に「桑畑」があるくらい、かつて日本では養蚕が盛んだったことがあるようですが、わたしは養蚕のことや絹糸ができるまでのことを全く知りません。
というわけで今回は、好奇心のままにカイコから絹糸ができるまでのことを調べてみました。
カイコってどんな虫?
わたしのざっくり知識では、幼虫は芋虫、成虫は蛾で、食事は桑の葉であることしか知りません。
わたしは芋虫や毛虫などの、足が8本以上だったり無かったりウニウニ動く系の虫と、蛾や蝶など鱗粉があったりフワフワした毛が生えた虫が苦手ですが、頑張って調べます。
そんな理由から、カイコの画像は載せません。昆虫(G含む)は平気なんですけどね。
カイコの一生
カイコは卵で産まれ、孵化した幼虫は4回脱皮します。
食料は桑の葉です。
※昆虫の幼虫は孵化した時点で1齢と言い、その後は脱皮をするごとに2齢、3齢と数え、さなぎまたは成虫になる前を終齢と言い、カイコの発育段階を「蚕齢(さんれい)」といいます。
5齢(終齢)にまで成長するとカイコは糸を吐き出し繭を作ります。
この繭が生糸に加工されます。
カイコは繭の中でさなぎになり、2週間ほどで羽化します。
それがカイコガです。
※カイコともカイコガとも呼ばれますが、幼虫はカイコと呼ばれることが多いとのこと。
羽化後まもなく交尾をし500~700個、約3日間産卵します。
卵は直射日光の当たらない、乾燥しない場所で、25℃以下の環境で10日で孵化します。
そして、成虫は食事をせずに1週間で一生を終えます。
産卵から10日ほどで孵化し、27日ほどかけて脱皮を繰り返し、繭を作ってさなぎになり2週間で羽化、成虫の期間は1週間。
カイコの一生は約2ヶ月ということですね。
なんて儚い一生なのでしょう。
カイコの成虫は野生に戻れない
カイコは良い生糸(撚りなどの加工をしていない糸)を多く生産するために、野生の蛾を人間が数千年かけて品種改良を重ね、飼いならし、家畜化したものです。
成虫は羽があるのに飛べません。
野生に戻る能力を完全に失った唯一の家畜化動物であり、人間の管理下でないと生きることができません。
繭から糸ができるまで
カイコという虫がどんな生き物かわかったところで、次は繭から糸ができるまでの工程をたどってみます。
いろいろ細かい段階はあると思いますが、ハイライトはやはり「茹でる」ことだと思います。
お湯で茹でると水溶性のたんぱく質が溶け出して柔らかくなり、糸がほどけやすくなります。
さなぎの状態で茹でるということは、カイコを死なせてしまうことになりますが、羽化し繭から出てくると、成虫は尿を排泄するため繭が汚れてしまい、商品価値が下がってしまいます。
養蚕農家から製糸工場に出荷するときはこうするのでしょうか。
と思って調べたらすぐに動画が出てきました。
茹でられているさなぎがかわいそうになってきますが、最後はとてもとても綺麗な糸になりました。
もっと詳しく知りたい方は、ページ下に参考一覧を載せていますので、リンク先を読んでください。
注:虫画像あり
茹でた後のさなぎはどうなるのか
茹でられて死んでしまったさなぎはどうなるのだろう。
ただ糸を取るためだけに死なすのはなんかひどい。
と思ってさらに調べると、どうやら食べられるらしいです。
とある人は「(糸を取った後)嫌いじゃなければ佃煮にでもしてください。」と言っていました。
日常的に虫を食べるような食文化の家庭で育っていないので、「嫌いじゃなければ佃煮にでもしてください。」と、さらっと言っていて軽く衝撃を受けました。
乾煎りして食べてみた人の記事を貼っておきますが「ジタバタ動き回るので若干の罪悪感があります。」という一文にちょっと笑いつつ、味の感想は「めちゃくちゃうまい!」そうです。
香りがナッツに似ているとのことですが、そういえば貴志祐介さんの著書「クリムゾンの迷宮」でウィチェッティグラブという蛾の幼虫も「ナッツのよう」だと主人公が言っていました。
ちなみにイナゴやざざ虫や、グソクムシは「エビの味」と言われています。
幼虫はナッツ、成虫はエビの味なのでしょうか。
温暖化や地球の人口増加による食糧問題の解決手段として、FAO(=国際連合食料農業機関)も昆虫食を検討しているということなので、自然素材の糸の原材料であり、食料にもなるカイコの繭は、なんかすごい生き物ですね。
気持ち悪いとかいってごめんなさい。
余談なのですが、わかりやすい記事にしようと思って、いろいろな人のブログを参考にさせていただいたのですが、思っていたよりたくさんの記事があありました
カイコを飼うのは割とポピュラーな趣味なのでしょうか。
生きたまま茹でられたカイコのさなぎに思いを馳せて
今回いろいろと調べていくうちに、このような記事を見つけました。
小学生のころ、大切に育てたカイコを「茹でる」と聞いた一人の少年?少女?の思い出です。
そうですよね。
大切に育てた子を死なせるって苦しいことですよね。
子どもだったツイ主は、結局茹でることができず羽化させてしまい、野生に返すことも餌を与えることもできず、カイコが死んでしまうまで切ない気持ちを抱いたことでしょう。
キレイにかわいく手染めされたRutic Silk。
手染め作家さんだけでなく、養蚕農家、儚い一生のカイコ、切ないかつて子どもだった誰かの思いを胸に、楽しい編み物ライフを続けていこうと思いました。
参考
蚕(カイコ)とは?蚕の一生、繭の糸を取り出す方法などを解説/LAB BRAINS