リネン=麻ではない!夏糸の定番・リネンの正体

編み物豆知識

夏と言えば、ファッションアイテムやインテリアで、リネン素材のものが多く出回ります。

「リネンて何?」と聞かれたら「麻だよ」と答える人は多いのではないでしょうか。

さて、麻由来の糸のラベルで組成を確認すると「リネン○%、ラミー○%」などそれぞれが麻のはずなのに、わざわざ別々に表示されています。

ということは、「麻とひとことで言っても、麻の中で細かく種類があるのだろうな。」と興味が湧きまして、わたしの好奇心のままにどの種類がどんな編み糸になっているのかを調べてみました。

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植物としての麻について

麻とは、バラ目アサ科アサ属で、大麻草と呼ばれる草本(木にならない植物)で、アサ科の麻から作られる植物繊維の総称で、約20ほどの種があります。

繊維として代表的なものは「大麻 (ヘンプ) 」や「苧麻 (ラミー) 」、「亜麻(リネン)」や「黄麻(ジュート)」、「マニラ麻(アバカ)」があります。

植物としては大麻をアサと言い、植物繊維として麻に含まれる「苧麻 (ラミー) 」、「亜麻(リネン)」や「黄麻(ジュート)」、「マニラ麻(アバカ)」は、それぞれ別の植物になります。

植物としての麻の分類

先ほど「植物として麻に分類されるのは大麻である。」と言いましたが、植物界の系統分類学ではさまざまな学説があり、クワ科という説と、アサ科という説があります。

この違いは植物の分類体系の違いであり、以下のようになっています。

新Engler(Melchior and Werdermann eds. 1964)の植物分類体系 → クワ科
クロンキスト(Arthur Cronquist:1919-1991)の植物分類体系 → アサ科

2010年の朝日新聞で、植物の分類法が変わったという記述を見かけたので、このあたりのことが関係するのでしょうか。

専門的過ぎてわたしの理解の範疇を超えてしまうので、クワ科に分類される場合と、アサ科に分類される場合があるということで自分を納得させることにします。

そこで、繊維としての麻と植物として麻の分類をまとめました。

  • 大麻(ヘンプ)→ バラ目 >クワ科・アサ科
  • 亜麻(リネン)→ キントラノオ目 >アマ科
  • 苧麻(ラミー)→ バラ目 >イラクサ科
  • 黄麻(ジュート)→ アオイ目 >シナノキ科
  • マニア麻(アバカ)→ ショウガ目 >バショウ科

ご覧のとおり、名前に麻とついていても、植物の分類(科)が違うことから、別の植物であることがわかりました。

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繊維としての麻について

日本で麻の名称で流通している繊維のほとんどは、亜麻から作られるリネンです。

現在では「家庭用品品質表示法」により、日本で製品に「麻」と表記できるのは亜麻(リネン)か苧麻(ラミー)の2種類のみとなり、本来の麻である大麻(ヘンプ)は含まれていません。

つまり、製品に表示されている麻は植物としての麻ではないということになります。

(・_・;).。oO(なんで?)

繊維としての麻の特徴

植物としての麻である大麻(ヘンプ)が製品表示で「麻」と表記できないという謎はさておき、それぞれの種類の繊維はどのような特徴があるのでしょうか。

それぞれの特徴と主な用途をまとめました。
※画像はニッターとして縁が強いものだけ準備しました。

大麻(ヘンプ)の特徴

大麻の靭皮(茎の部分)からとった繊維。

強力で耐久性・耐水性に優れていますが、漂白すると繊維が弱くなり、弾性にかけるので最近は衣料品にはあまり使われていません。

麻ひもやロープ、鼻緒の芯、畳の縦糸・横糸に使われています。

亜麻(フラックス・リネン)の特徴

植物の状態をフラックス言い、糸や布地になるとリネンと言います。

吸水性が速く、また吸った水分を容易に蒸発すること、丈夫なこと、光沢があること、通気性がよく清涼感があることから、夏の衣料用素材として適しています。

苧麻(ラミー)の特徴

亜麻(リネン)と同様に衣料用によく使われます。

日本でも昔から栽培されていて「苧(からむし)」と呼ばれていたもので、越後上布(えちごじょうふ)の上布(麻布の高級品)という織物に使われていました。

植物学上では、ラミーとは別のものですが性質が極めて似ていることから、繊維業界では同義語とされています。

夏用の衣服の他に、ハンカチやテーブルクロスにも使われます。

黄麻(ジュート)の特徴

黄麻の靭皮繊維で、耐水性には乏しいのですが強力で光沢があり、紡績(糸を紡ぐこと)しやすく、大量生産ができます。

衣料用にはほとんど使われず、ロープや梱包用布、カーペットに使われています。

マニラ麻(アバカ)の特徴

バショウ科の植物で葉柄(ようへい)から採取された繊維。

強力で湿気に強いが硬くて紡績しにくく、衣料用にすることはあまりありません。
ロープや帆布、工業史剤や紙に使われたりします。

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麻由来の編み糸

麻とはどんなものかが分かったところで、麻由来の編み糸を用途別に、どんな糸があって、どこで買えるのかまとめてみました。
※麻を原料とするものが50%以上のものをピックアップしています。

ウェア向けの麻糸

毛糸のピエロ

ダリオ(ラミー50%、リネン10%他)

Chanvre(フレンチリネン100%)

Sorbet Crochet(ラミー100%)

DARUMA

Linen Ramie Cotton(リネン25%、ラミー25%、綿50%)

ハマナカ

ハマナカフラックスK(リネン78%、綿22%)

ハマナカフラックスC(リネン82%、綿18%)

小物向けの麻糸

ハマナカ

ハマナカコマコマ(黄麻100%

亜麻糸《リネン》(リネン100%)


個人的な意見ですが、リネン素材のシャツでかゆかったことがあります。

また、ハマナカフラックスKでウェアを編んだことがあるのですが、かゆくて実用できずにほどいて別のものを編みなおし、部分的に使うようにしました。

↓こちらのサマーセーターの衿のネイビーがハマナカフラックスKです。

ゲージが変わりやすい人は試してみて! 同じパーツを同じサイズに編む方法
ウェアなどの大物を編むとき、仕上がりまでずっと同じゲージを保ったまま完成まで編むことはできますか?

毛糸もそうですが、肌に直接触れる繊維は柔らかい方がかゆくないです。

かゆく感じるかどうかは麻糸でウェアを編むときは、レビューや編み仲間の意見を参考に糸を選ぶと失敗が少ないかもしれないですね。

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まとめ

さて、今回調べた麻の仲間たちの特徴や分類などを表にしました。

大麻
(タイマ)
亜麻
(アマ)
苧麻
(チョマ)
黄麻
(ジュート麻)
マニラ麻
別名 ヘンプ フラックス・リネン ラミー・からむし ジュート・黄麻(コウマ) アバカ
分類 バラ目クワ科またはアサ科 キントラノオ目アマ科 バラ目イラクサ科 アオイ目シナノキ科 ショウガ目バショウ科
主な生産国 中国・フランス 中国・フランス 中国・ブラジル・フィリピン インド・バングラディシュ・中国 フィリピン・エクアドル・コスタリカ
用途 衣料、混紡地 など シャツ、帆布、芯地 など シャツ、寝具 など 麻袋、括糸、カーペット など ロープ、漁網、インテリアマット、紙 など

参考:NPOヘンプ製品普及協会

この記事を書くにあたり、わたしが一番注目したのは分類です。

「リネン=麻」だと思っていたのですが麻じゃないし、アサ科であるはずの大麻が品質表示では麻に含まれないし。

これ、なんでですかね。ちょっといろいろあるからでしょうか。

調べたら出てきそうですが、この記事も長くなってしまったのでこの件は、またいつか。

ご存知であれば是非ともコメントください。

参考

KNITLABO BLOG

麻の総合利用研究センター

生地の森 Official blog

中川政七商店

日本麻紡績協会

新ファッションビジネス基礎用語事典/チャネラー

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