SNSで編み方を聞くときに「有料編み図」を載せちゃダメ?困ったときの聞き方を考えてみた

長いつぶやき

SNSで編み物をしていると、こんな投稿を見かけることがあります。

「この編み方の意味が分かりません。誰か教えてください!」

そして、その投稿には本や有料パターンのページが写真で丸ごと載っている。

それを見て、「あー……またか」と思っていませんか?
私は思ってます。

分からなくて困っているのは分かる。
誰かに聞きたいのも分かる。

でも、そのために有料の編み図をSNSに載せるのは、ちょっとよろしくない。

……とはいえ、毎回「著作権が!」と注意するのも疲れる。

そもそも、私だって法律の専門家ではありません。

そこで今回は、

「有料編み図をSNSに載せずに質問するなら、どうしたらいいんだろう?」

ということを、古参の私がちょっと考えてみます。

【結論】有料編み図を載せずに質問する4つの方法
  1. 出版社に聞く
  2. デザイナーに聞く
  3. 作品名でDM募集
  4. いったん寝かせる

なぜNG?SNSに有料編み図や本を載せる著作権上のリスク

まず、この話だけは避けて通れません。

編み物の「編み図」や「文章パターン」には、著作権が関係することがあります。

著作権は、著作物を創作したときに自動的に発生します。

もちろん、編み方そのものが誰か一人のものというわけではありません。

たとえば、

  • 表編み
  • 裏編み
  • 2目一度
  • 増し目
  • 一般的な編み方

といった技法そのものを、誰かが独占しているわけではありません。

一方で、デザイナーが考えた具体的なパターンや、それを説明する文章、図、写真などは、創作物として保護される可能性があります。

つまり、

「編み方」と「その編み方を使って作られた具体的なパターン」は別のもの。

ということです。

編み物の著作権については、こちらの記事でも解説しています。

編み物の著作権とモラル―編んだ作品の販売や編み図のコピーで「やっていいこと・悪いこと」
編み物愛好家必見!著作権の基本をわかりやすく解説します。市販の編み図で作った作品の販売(商品化)や、編み図・編み方解説の無断公開はNGです。デザイナーへの配慮とモラルを守り、楽しくハンドメイドを続けるためのルールを確認しましょう。

特に、SNSやブログで本のページをそのまま公開することについては、こちらの記事の

SNSやブログで『本のページ』を丸ごと公開すること

の章も参考にしてください。

「分からないから誰かに聞きたい」は、もちろん分かる

「SNSで聞くな」と言っているわけではありません。
これは誤解してほしくない。

編み方が分からなくなったら、誰かに聞けばいい。

私はそう思っているし、聞かれて分かることなら教えてあげたい。

私だって、かれこれ35年も編み物していますが、編み図であればいまだに、

「これは上級者向けすぎるな。少ない情報で理解できることを前提に書かれている」

と思うことがあります。

英文パターンなら、初めて見る用語には毎回出会います。

編み図と文章の説明が合わないことだってある。

だから、初心者に「自分で考えろ」なんて言えません。

むしろ、分からないなら聞いたほうがいい。

ただ、

「質問すること」と「質問するために有料編み図をSNSで公開すること」は別の話。

ここは切り分けて考えるべきです。

じゃあ、どうする?

SNSに有料編み図を載せずに、編み方を聞く方法

古参として初心者に教えたい気持ちはあります。

でも、質問の仕方によっては、デザイナーの権利を侵害してしまう可能性があります。

また、デザイナーを応援しているファンの気持ちを害することもあるかもしれません。

そして何より、質問した本人が知らないうちにトラブルに巻き込まれないためにも、こんな方法があるんじゃないかな?と考えてみました。

本なら出版社に問い合わせてみる

本を見ていて、

「どう考えても、この説明おかしくない?」

と思ったら、出版社に問い合わせてみる。

出版社によって対応は異なりますが、読者からの問い合わせを受け付けている場合もあります。

実際に、

「編み方が分からなくて出版社に問い合わせたら教えてもらえた」

という話を聞いたことがあります。

特に、

  • 編み図と文章の説明が一致しない
  • 指示通りにすると目数が合わない
  • どう考えても次の段につながらない

という場合。

もしかすると、自分の読み間違いではなく、誤植や記載ミスかもしれません。

「自分の理解力が足りないんだ……」

と決めつける前に、問い合わせてみてもいいと思います。

パターンなら、デザイナーや販売元に聞いてみる

独立して販売されているパターンなら、デザイナーや販売元(販売委託先)に問い合わせる方法もあります。

これは私自身も経験があります。

以前、英語版と日本語版の両方が販売されているパターンを購入し、日本語版を見ながら編んでいました。

ところが、どうしても説明と編み図のつじつまが合わず、デザイナーに問い合わせてみたら、

日本語版の翻訳に誤りがあったことが分かりました。

しかも、問い合わせたことについてお礼まで言っていただきました。

つまり、私が理解できなかったのは、私の編み物スキルの問題ではなかった。

この経験から、

「パターンの意味が分からない=自分の理解力が足りない」とは限らない

と実感しています。

ちなみに、Ravelryにはパターンごとのフォーラムがあり、同じ部分でつまずいた人が質問していることもあります。

Ravelryで購入したパターンなら、フォーラムで解決方法が見つかることもあります。

本の名前・パターン名を書いて、編んだことがある人を探す

これはSNSで見たどなたかの投稿で「確かに!」という案があったので、少し踏み込んで考えてみました。

SNSで質問するなら、編み図そのものを載せずに、

「作品名を挙げて、編んだ人を募ってDMでやりとりする」

という方法です。

例:

「〇〇(本のタイトル)の△△(作品名)を編んでいる方へ。〇ページの工程でつまずいてしまったので、編んだことがある方がいたらDMでアドバイスいただけると嬉しいです!」

こんな感じ。

ここで、ちょっと思うのが、

「同じパターンを購入して編んでいる人なら、その人に編み図を見せて質問するのはいいんじゃない?」

ということ。

だって、その人もすでにパターンを購入している。
デザイナーにもちゃんとお金が支払われている。

……だったら、購入者同士ならいいような気もする。

一方で、

「いや、パターンを購入したからといって、SNSなどで内容を共有する権利まで買ったわけではないよね?」

とも思う。

正直、ここは私自身も明確な答えを出せません。

ただ、少なくともSNSに編み図を丸ごと公開して、不特定多数が見られる状態にするよりは、ずっと慎重な方法だと思います。

そして、この方法を使うなら、相手が本当にその作品を編んでいる人なのかは確認したほうがよさそうです。

「教えるよ」と手を挙げた人が、実はパターンを持っていない可能性もありますからね。

制作実績などを見て、

「確かにこの人はこれを編んでいるな」

と確認できる相手に相談する。

このくらいの注意は必要だと思います。

ネットがなかったころの私たちは、どうしていた?

ここで、ちょっと昔の話をしましょう。

今は、分からないことがあればすぐ検索できる。
独学するには、本当に恵まれた環境になったと思います。

動画もある。
SNSもある。
そして今ならAIに聞くことだってできる。

便利な時代です。

でも、ネットがなかったころの私たちは、そうはいかなかった。

編み物の本を何度も読み返す。
手持ちの別の本を探す。

近くに聞ける人がいたらラッキー。
いなければ、自分でどうにかするしかない。

いつしか私は、最初に編み物を教えてくれた母を超えてしまい、ついには、

「え?お母さんも分からない」

ということが増えてしまいました。

じゃあ、どうする?

書店に行くんです。

ネットがないんだから、そもそもどんな本があるのかすら分かりません。

書店に行って、

「その本はもう持ってるんだよ!」

と、がっかりすることなんて何度もありました。

もちろん書店をはしごもします。

当時は高校生でしたから、そんなにお金も持っていません。

自転車で書店巡りです。

それだけ本を探し回っても解決できないときはどうしていたか。

「……まあ、今の私にはまだ早いんだな」

と、いったん置いて、別のものを編む。

しばらくして、また戻ってくる。

それでも分からなければ、また別のものを編む。

そして、ある日突然、

「あーーーー!!こういうことか!!」

と急にひらめく。

何日も何週間も分からなかったことが、突然つながる。

誰かに答えを教えてもらったわけでもないのに、自分の中で理解できる。

あの瞬間が、めちゃくちゃ気持ちよかった。

同じくらいの古参のみなさん、

「そうそう!」

って人、いますよね?

初心者さんに伝えたい。正解も完成も、そんなに急がなくていい

最近は、分からないことがあると、すぐに答えを探せます。

それ自体は悪いことではありません。

私だって検索するし、動画も見るし、AIにも聞きます。
(そして、たまに「ちげーよ!」って思います)

でも、編み物って、最短ルートで完成させなくてもいいものなんです。

ネットがなかったころの私たちは、分からないものを放置するしかないこともありました。

でも、その「放置」が、結果的に自分で考える時間になっていたのかもしれません。

分からない。

いったん置く。

別のものを編む。

しばらくして戻る。

「あっ、そういうことか!」

そんな遠回りをして覚えたことって、案外忘れないものですよね。

もしSNSで「この編み方が分かりません!」という人を見かけても、

「著作権違反ですよ!」

と注意するだけが方法ではないですよね。
(最近は注意してくれる人も減った気がします)

もちろん、わざわざ自分が面倒を見る必要もありません。

ただ、

「本のタイトルを書いて、同じものを編んだ人を探してみたら?」

「出版社やデザイナーさんに聞いてみてもいいんじゃない?」

くらいのアイデアを出してあげることはできます。

実際に、そうしてくれている人もいます。

そして、「分からなかったら、いったん別のもの編んじゃえば?」でもいいと思う。

まとめ

SNSで編み方を質問するために、有料編み図や本のページをそのまま載せている人を見かけると、

「これ、著作権的に大丈夫?」

とモヤっとすることは多々あります。

新しい人が次々と編み物に挑戦しているのでしょう。
そして、次から次へと編み図をSNSに載せる人が出てきます。

でも、質問すること自体は悪くありません。

だから、

「編み図を公開しないで質問する方法もある」

という選択肢を考えてみればいい。

たとえば、

  1. 本のタイトル・パターン名を出して、編んだことがある人を探す
  2. 本なら出版社に問い合わせる
  3. パターンならデザイナーや販売元に問い合わせる
  4. それでも分からなければ、いったん置いて別のものを編む

というように、いくつかの方法があります。

そして初心者さん。

編み物ってね、タイパとは対極にあるものなんです。

もちろん、初心者全員がそうだと言いたいわけではありません。

ただ、初心者さんの投稿を眺めていると、分からないことをすぐに解決して、早く完成させたいと感じている人も多いのかなと思います。

タイパという意識は編み物以外のところで発揮して、編み物だけはのんびり構えてもいいんじゃないかな。

ネットがなかったころの私たちは、分からないことをすぐ解決できないことも普通でした。

だからこそ、

「今の自分にはまだ早いのかも」

と、いったん置いておいた。

そのうち、

「こういうことか!!」

と天啓が降りてきたんです。

正解も完成も、そんなに急がなくていい。

……まあ、今は検索もSNSもAIもあるので、使えるものは使えばいいんですけどね。

さて、

「これって著作権的にどうなんだろう?」

と、なんとなくモヤモヤして検索してきた皆さん。

そんな人たちと、

「こうしたらいいんじゃね?」

と、一緒に考えてみた記事でした。

参考:
公益社団法人著作権情報センター「著作権って何?(はじめての著作権講座)
文化庁「著作権について知っておきたい大切なこと

あわせて読みたい

編み物の著作権について、「編んだ作品を販売してもいい?」「編み図をコピーしてもいい?」など、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

編み物の著作権とモラル―編んだ作品の販売や編み図のコピーで「やっていいこと・悪いこと」
編み物愛好家必見!著作権の基本をわかりやすく解説します。市販の編み図で作った作品の販売(商品化)や、編み図・編み方解説の無断公開はNGです。デザイナーへの配慮とモラルを守り、楽しくハンドメイドを続けるためのルールを確認しましょう。

この記事では、編み物に関する著作権やモラルについて、具体的なケースを挙げながら「やっていいこと・避けたいこと」を整理しています。

また、あまり知られていないけれど、実は表紙もSNSに公開したら著作権の侵害に当たることがあります。

SNSに「本の表紙」をアップするのはNG?広告代理店で印刷関係にいた私の視点と対策
SNSで本の表紙を投稿するのはNG?著作権の基本と「写り込み」の考え方、出版社の実情、楽天アフィリエイトなど公式画像を使った安全な紹介方法を広告代理店・印刷業界出身者の視点で解説します。