アメリカの毛糸ショップ Wool and Company から Malabrigo の糸を個人輸入したシリーズの第3編です。
今回は、実際にかかった「お金」の話です。
毛糸を海外から買うときによく耳にする「輸入関税」や「輸入消費税」について、できるだけわかりやすく整理します。
関税と輸入消費税のちがい

海外からモノを買うと、日本に届いた時点で「税関」でチェックが入ります。
ここでかかる可能性のある税金が次の2つです。
- 関税(Customs Duty)
海外から入ってきた商品に対して、日本がかける税金です。
国内の産業を守るための目的で設定されています。
関税率は「輸入国側(=日本)」が決めるもので、
日本の関税率表では 毛糸(yarn, knitting yarn)はすべて関税0%(無税) に分類されています。
つまり、毛糸の個人輸入で関税が発生することはありません。 - 輸入消費税(Import Consumption Tax)
日本で買い物をしたときに払う消費税と同じ仕組みで、
海外で買ったものを「日本で使う」場合に課されます。
こちらは 日本の消費税の一部 として扱われます。
それぞれの違いを表にしました。
| 輸入消費税 | 関税 | |
|---|---|---|
| 目的 |
国内消費税の公平性の確保 コメント:海外商品に消費税がかからなかったら日本の商品に消費税払いたくないですものね。 |
国内産業の保護 |
| 対象 |
すべての輸入品 (非課税対象を除く) |
一部の輸入品 毛糸は課税対象外 |
| 税率 |
10% (軽減税率対象は8%) |
商品ごとに異なる (0%~数十%) |
| 計算基準 | 課税価格(CIF価格※+関税+ その他の内国税額) | 課税価格(CIF価格※) |
| 支払いタイミング |
毛糸の個人輸入の場合、荷物の受け取り時に配送業者に支払う。 | |
※CIF価格とは「Cost(貨物代金)」、「Insurance(保険料)」、「Freight(海上運賃)」
参考:輸入消費税と関税の違いは?仕組みやポイントをわかりやすく解説
※内容は毛糸の個人輸入の場合として一部修正しています。
日本向け個人輸入(日本在住者が海外から毛糸を輸入する場合)におけるトランプ関税の影響

先日の編み会で
「アメリカから毛糸を買うのは、今はなんか怖いよね。トランプ関税で何かしら影響があるかも知れないし。」
という声が上がりました。
「トランプ関税」という言葉は見聞きしていましたが、具体的にどういうことなのか全くわかっていなかったので、まじめに調べてアメリカからの毛糸の個人輸入にどのような影響があるのか考えてみました。
トランプ関税とは
第2次トランプ政権発足後の2025年4月にトランプ大統領が発表したトランプ関税の中身。
すべての輸入品に一律10%の関税を課す。
これが第一弾。
第二弾では、アメリカとの貿易で赤字額が大きい国や地域に対しての関税率を上げる「相互関税」を引き上げる。
ということなのですが、今回のトランプ関税は、アメリカが輸入する商品に対して課せられるので、アメリカから日本に輸入する際には直接の影響がありません。
日本の私たちがアメリカのショップから毛糸を買うときに関係するのは、あくまで 日本の税関が決める関税と消費税 です。
ただし、アメリカが原料を輸入するときに関税が高ければ、商品化するときにその上がった関税分
を商品価格として上乗せする可能性はありますので、結果として値上げという影響はあるかもしれませんね。
ただ、関税についてはそもそも毛糸は非課税なので毛糸の個人輸入には関税としての影響はありません。
アメリカの毛糸を個人輸入するときに一番影響があるのは、円安ですね。
なぜ輸入消費税がかからなかったのか

さて、輸入関税と輸入消費税の違いと、毛糸の個人輸入にトランプ関税は影響がないということが分かったうえで、今回覚悟していた輸入消費税の請求がなかったのはなぜなのかを考えてみます。
今回の購入内容と円換算
今回実際に支払った金額は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 商品代金 | 91.20 USD |
| 送料 | 32.24 USD |
| 合計 | 123.44 USD |
決済時のレート:約149円/USD
クレジットカード請求額:19,186円
まず、輸入消費税の課税対象になる項目は、商品代金と配送料ですね。
16,666円以上が確か課税対象になるので、クレジットの請求額が確定した時点で、輸入消費税が請求額の10%かかることに加えて、立替手数料がかかることを覚悟していました。
なぜ輸入消費税がかからなかったのか―考察―
いざ商品を受け取ると、関税も輸入消費税もかかりませんでした。
※何度も言いますが毛糸の個人輸入には関税はかかりません。
その理由は、課税対象金額が免税ラインを下回っていたためと考えられます。
日本の税関では、個人輸入の場合、課税価格を簡便的に「商品代金の60%」として計算します(送料は含めません)。
そのうえで、課税価格が1万円以下なら輸入消費税は免除されます。
今回のケースを当てはめると:
- 商品代金:91.20 USD
- レート:149円/USD
- 課税対象額の目安:91.20 × 149 × 0.6 = 約8,160円
→ 課税価格が1万円を下回っているため、免税対象となったと考えられます。
つまり、関税0%+輸入消費税も非課税。
結果として、支払ったのは純粋に「商品代金+送料=19,186円」のみでした。
まとめ

- 毛糸は日本では関税0%(無税)。
- 輸入消費税は「日本の消費税」と同じ仕組みで、課税価格1万円以下なら免除される。
- トランプ関税はアメリカ国内向け政策で、日本の個人輸入には関係なし。
- 商品代金が免税ラインを下回る場合は、関税・輸入消費税がかからないこともある。
ただし、為替レートや税関判断によって結果が変わることもあるため、「今回はたまたま免税だったラッキー」とするのが良いでしょう。
今回のケースのように「毛糸の個人輸入で関税ゼロ・消費税免除」となることもありますが、毛糸以外の手芸用品(例:ボタン・金具・布など)では関税が発生する場合もあります。
ちなみに、先日Threadsでこんなやり取りを見かけました。
投稿者:今回輸入関税かかったー
リプ:関税?消費税じゃなくて?
投稿者:関税です。配送業者に聞いたら「あまりたくさん買うと商用とみなされて関税をかけられることがあるんです」って、言われました。
だそうで。
ただ、個人輸入で課せられた税金については不服申し立てができると聞いたことがあるので、この投稿者さん、不服申し立てしてみてほしいなぁ。
(なぜか私のThreadsはまわりですぐに喧嘩始まるのでチェックしていません。なのでこの投稿者さんがどうしたのかわからない。)
関連記事
今回の記事は、アメリカの毛糸ショップからMalabrigoを個人輸入したときの体験をもとにしています。
購入のきっかけから到着、そして今回の税金の話までをシリーズでまとめています。
初めて海外ショップから毛糸を買う方は、ぜひ前後の記事もチェックしてみてください。
さらに、EU(ドイツ)からDHL便で届いたときに輸入消費税と立替手数料を支払ったこともありました。
そのときの対応をまとめた記事もあるので、気になる方はこちらもどうぞ。



