編み物を始めたばかりのあなたへ。
「ネットで見た動画の通りにやっているのに、なぜか編み目がきつくなる」「他の人の作品と比べて、わたしの編み方だけ違う気がする」
もしあなたがそう感じているなら、それはあなたのせいではありません。
現代ではSNSや動画で手軽に情報が得られる反面、「個性的な編み方」や「自己流の解釈」で紹介されているノウハウも多く見られます。これらは、意図せずあなたの編み物を遠回りさせてしまう原因になることがあります。
大切なのは、あなた自身が遠回りすることなく、楽しくスムーズに上達すること。
今回は、知識ゼロの初心者さんでもすぐに使える「信用できる編み物ノウハウ」を見分けるための、3つの簡単なルールをご紹介します。
ルール1:まずは「発行元(だれが出しているか)」をチェックする

初心者さんが一番早く、確実に正しい情報にたどり着くには、「誰がその情報を出しているか」をチェックすることが最も大切です。
特に以下の発信元が公開している情報は、専門家による監修や厳しいチェックを経ているため、信用度が高いと言えます。
| 信用度が高い情報源 | なぜ信用できるか? |
| ① 大手出版社が出している「編み物の本」 | プロの編集者と、実績豊富な専門家(先生)が協力して作っているため、基礎が網羅的で正確です。(例:日本ヴォーグ社、文化出版局、ブティック社など) |
| ② 手芸用品メーカーの公式サイト/公式YouTube | 編み針や毛糸を作っているメーカーが、自社の製品を正しく使ってもらうために基礎の情報を公開しています。(例:ハマナカ、毛糸のピエロ、オリムパス製絲など) |
| ③ 専門団体や協会認定の資格を持っている講師 | 教室で指導している講師は、多くの生徒に教えてきた実績に加え、技術の裏付けがある場合があります。(例:日本手芸普及協会の各種認定資格や、各毛糸メーカー系団体の師範・講師資格など) |
ルール2:個人で発信している人ならば「制作実績」を見る
個人のニッターさん(編み物をする人)やクロシェッターさん(かぎ針編みをする人)が発信している動画やブログも、学びの大きな助けになります。
しかし、その情報が信用できるかどうかは、以下の2点をチェックして見極めましょう。
チェック1:完成品の「種類」が豊富か?
編み物の技術レベルは、「完成品の量とバリエーション」に比例します。
例えば、マフラーやコースターといった簡単な小物しか公開していない場合、その人はまだ基礎の途中段階かもしれません。
信用度が高い目安
- セーター、カーディガン、靴下など、難しいとされる大作の完成品をいくつも公開している
- 棒針編み、かぎ針編み、レース編みなど、幅広い編み方を経験している
たくさんの実績がある人は、たくさんの失敗と成功を経験しています。だからこそ、初心者さんがつまずくポイントや、その解決策を熟知しているのです。
チェック2:「増し目・減らし目」など基本的な質問に答えられるか?
例えば、編み物の基本技術である「増し目(目を増やす)」や「減らし目(目を減らす)」は、帽子やセーターを編む際には必須のテクニックです。
以前の記事で取り上げた動画の様に、もし発信者が「増し目や減らし目はやったことがないので分かりません」と答えるようであれば、それはまだ基礎を完全に習得していない証拠です。
このような人に教わってしまうと、あなたがレベルアップしたいと思った時に、その人の知識の壁にぶつかって先に進めなくなってしまいます。
ルール3:「なぜそうなるか」の理由まで説明できているか
単に「右から針を入れてください」とやり方だけを説明する動画よりも、「なぜそのやり方をしなければならないのか」まで解説できている情報を選びましょう。
例えば、正しい編み方を紹介する際に、
- 「針をこのように入れると、編み目がねじれて硬くなってしまうので、今回はこちら側から入れましょう」
- 「この編み方だと編み地が緩みやすいので、きつく編むには少し工夫が必要です」
というように、問題点や、その編み方の理屈まで説明できている人は、その技術を深く理解している証拠です。
また、「通常は前から拾いますが、ここでは次の段で操作する準備のために後ろから拾います」など、通常の編み方と特別な編み方の使い分けを説明できている人も理解が深い人です。
表面的なやり方だけでなく、「なぜ?」の理由まで知ることで、あなたは自分で間違いに気づき、応用できるようになります。
まとめ:不安な時は「信頼できる情報」から学び直そう

編み物の上達を邪魔するのは「才能」や「不器用さ」ではなく、「間違った情報」です。
もし今あなたが、
- 「どうも編み目が揃わない」
- 「他の人の編み方と比べて違和感がある」
- 「セーターなどの作品に挑戦しようとすると編み図通りにできない」
と感じているなら、一度立ち止まって、上記3つのルールでチェックした信用できる情報源(大手出版社やメーカーの基礎本など)から、基本の「針の入れ方」や「糸のかけ方」を学び直すことをお勧めします。
正しい基礎を最初に身につけることが、一番の上達への近道です。安心して、楽しい編み物ライフを送りましょう!
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