初心者さんにマネしてほしくない間違えたあの編み方について深堀してみた

編み物初心者

先日公開した記事【編み物初心者さんは気をつけて!正しくない情報に振り回されないために】について、公開した後ももんもんと悩んでいます。

あの記事を書いているときも公開した後もずっと「正しくない」とか「間違い」という、自分が発した言葉がずっと心に逆棘のように引っ掛かっていました。

本当はあの編み方自体は世界的に見たら「間違いだ」とは言い切れないものだから。

でもやはり、日本語を話す日本在住の初心者さんにはマネしてほしくないという思いは変わりません。

今回は「針にかかる目が逆になるあの編み方がいったいどういう編み方なのか」そしてそれは「本当に間違いなのか」を深堀していきます。

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間違えているあの編み方にも名前がある

先日公開した記事では、あの動画の編み方をわたしははっきりと「間違いだ」と言いました。

その記事はこちら↓

でも実はあの編み方自体は存在していて、名前もあります。

それが

コンビ式(=combined knitting または combination knitting)

そう。

ちゃんと編み方として認められているのです。

なので「間違いだ」とは実は言い切れないのです。

ただ「コンビ式」という名前は該当する日本語がなかったのか、knitlogというブログを運営しているanemoneさんが便宜的に作った日本語名のようです。

コンビ式の編み方の特徴をかんたんに言うと

裏目のときに、糸を逆向きにかけること

です。

英語ですがWikipediaのURLを参考に貼っておきます。

Combined knitting

ブラウザの機能で日本語訳にしてもわかりにくいです。

なので知らずにコンビ式になっていた人のお話を参考のために引用します。

ちなみのその人が上記のanemoneさんです。

ポイントとなるのは針にかかる糸の向きです。どうやっても「kfb」ができない原因は、糸の向きが私は「逆」なのでした。手持ちの「毛糸だま」バックナンバーにちょうど、向きを説明している画像を見つけたので載せてみます。「1」が「フランス式」あるいは「アメリカ式」の掛け方、「2」はその逆。

knitlog/「アメリカ式」でも「フランス式」でもない、私は「何式」だったのか

※kfbとは英文パターンで出てくる編みだし増し目という編み方

棒針編みはフランス式とアメリカ式があり、大きな違いは「どちらの手の指に糸をかけているのか」であり、「フランス式は糸を左手の人差し指」「アメリカ式は糸を右手の人差し指」にかけています(右利きの場合)。

間違えて覚えてしまった編み方を分類した結果「コンビ式に分類できるかな?」という人はそこそこにいますが、ちゃんとコンビ式だと認識してコンビ式で編んでいる日本人には、SNSでもリアルでもまだ出会ったことがありません。

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なぜ意図せずにコンビ式になってしまうのか

知らないうちに糸をかける向きが逆になってしまう人はフランス式の人が多いのかなと思います。

フランス式の裏編みは慣れるまで難しいです。

わたしも裏編みがスムーズに編めるようになるまではかなり苦労をしました。

そして変な癖が付きました。

わたしが高校生のころに編み物を教えた同級生も裏編みに苦労をしていて、右針に糸をひっかけて左針の目から糸を引き出す彼女なりのかんたんな方法を見出した結果、目が逆向きになっていました。
(彼女にはわたしの自宅で教えていたのですが、通りすがりの母が友人の手元をみて気がつき、すぐに指摘してくれました。)

このようにフランス式の裏編みは針の操作が難しいので各々がやりやすい方法を模索した結果として逆向きかかってしまうのではないかと思います。

さらに、その方法だと目がねじれてしまうのでそれを解消するための対策として表編みも目が逆になるように対応させる人が多いのではないでしょうか。

本人に確認をとっていないので想像でしかないのですが、あの動画の主も間違えて覚えてしまった結果なのだろうと思います。

余談ですが裏編みは本当に個性豊かで、わたしのように親指を使う人や人差し指を器用に使う人などさまざまです。

「おもしろいなぁ」という視点と「コンビ式の人はいるのかな?」という視点でいろんな人の裏編みを見てみると良いかも知れないですね。

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コンビ式(Combined knitting)はデメリットが大きい

コンビ式にも一応メリットはあります。

それは anemone さんの言うとおり、裏編みが容易にできるので早く編めること

ですがそのメリットなんかどうでもよくなるほどのデメリットがコンビ式にはあります。

コンビ式のデメリット1.表編み・裏編み以外のテクニックの習得が困難になる

このことについては前回公開した記事と内容がかぶりますが、ここでもかんたんに触れておきます。

英文パターンで編んでいると未知のテクニックが出てくるので英語で編み方を検索するのですが、コンビ式で編んでいる動画はちらほらあります。

加えて海外のニッターをSNSでフォローしていますが、そこでもたまに目にします。

ですが、やはり多くはないです。

このことからコンビ式は少数派の編み方であると言えます。

ハウツーもノウハウもインターネット上にあふれていますが、少数派の編み方は当然情報もすごく少ないです。

欲しい情報を見つけること自体が難しいのです。

またコンビ式に合わせた指導をできる人もそうそういません。
むしろいないと言っても良いかもしれません。

Wikipediaにもこのようにあります。

この方法に慣れていない編み物のインストラクターは、この方法を使用して学生と一緒にクラスを教えるのに苦労するでしょう. 適切な用語は、教師がこれらの生徒に適切な指導を提供できるようにするために不可欠です。

WikipediaCombined knitting

※ブラウザの翻訳機能を使用

情報を見つけることもできなければ、教えることができる人もいません。

教えてくれる人がいたとしても「間違っている」ということを教えてくれて、結果として編み方を直すことになるでしょう。

コンビ式のデメリット2.フランス式・アメリカ式と比べて編み地が汚くなりがち

デメリットはテクニックの習得だけではありません。

仕上がりが汚くなります。

anemoneさんもこのように言っています。

「表目のときと裏目のときで、糸のかけ方が変わる」ことが原因と思われるのですが、メリヤス目のV字が表目と裏目で逆の方向に倒れます。これはちょっとかなり致命的なトラップです。

knitlog/「フランス式」vs.「コンビ式」:メリットとデメリット

編み地の仕上がり具合は anemone さんのコンビ式で編んだものとフランス式で編んだものを比較した記事を読んで確認してください。

思ったよりも顕著に差が出ていると思います。

【編み地比較】「コンビ式」ニッターに明日はあるか? | knitlog

結果としてanemoneさんはフランス式に直したようです。

デメリットをあげると項目は二つしかありませんが、その二つがかなり大きなデメリットだと思います。

たった一つのメリットに対して大きな二つのデメリット。

これだとコンビ式で編むのはやはりやめた方が良いかと思います。


さて、ここで思い出すのがあの動画の主旨です。

あの動画は「編み目が整わない」「編み目がきつくなる」という声に対しての解決策でした。

anemoneさんの記事をしっかり読んだ人は気が付いたでしょう。

「コンビ式」で編まれた編み地は固く、きつく、裏目と表目の段々が見分けられます。

knitlog/【編み地比較】「コンビ式」ニッターに明日はあるか?

「裏目と表目の段々が見分けられます。」ということはつまり、編み地が整っていないということですね。

事実、anemoneさんの編み地の画像を確認すると裏編みの段と表編みの段がはっきりとわかります。

あの動画の主自身がコンビ式で編んでいるから編み目が整わないし、編み目がきつくなっていたんですね。

あの動画をUPするまで動画の主がこのような悩みを抱えていて、解決方法としてあのダルンダルンなかけ方で編むことを思いついたのでしょう。

しかし編み地が整わないのも、きついのも、そもそも「編み地は固く、きつく、裏目と表目の段々が見分けられる」ということが実証されているコンビ式で編んでいたからであり、フランス式またはアメリカ式で編んでいる人の「編み目が整わない」「編み目がきつくなる」という悩みの原因が根本的に違っています。

やはりあの動画は参考にしない方がよさそうです。

あの動画の主に伝えたい。

編み方を正しくしたら整うと思いますよ。

と。

こういうときこそ編み物警察さんの出番なんですけどね。

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結局あれは間違いなのか

いろいろここまで書きながらわたしの考えをまとめたのですが、わたしが出す結論はこうです。

誰かに編み方を指摘されたときに『うん。わかってるよ?』と答えることができ、かつコンビ式のことや表編み・裏編み以外のテクニックの説明と実際の操作ができる人には「間違いではない」。

ですが編み方を指摘されたときに『え?そうなの?』と思ってしまう人には「間違い」である。

とします。

と言うことで…

これから編み物を始めたい人!
始めたばかりの人!

基本のキの表編みと裏編みの向きは確認しましょう。
コンビ式は言ってしまえば邪道です。
忘れてください。
フランス式・アメリカ式に関しては、好きな方でOKです!

すでにコンビ式(知らずにそうなっていた人)に慣れてしまった人!

anemoneさんの記事を読んでみましょう。

「あ、直そう」と思ったなら頑張ってください。

「コンビ式を突き詰めて、他のテクニックをコンビ式でもできるように習得する!!」と思ったなら、めっちゃ頑張ってください。

コンビ式を理解しコンビ式を貫いている人!

お願いです!
中上3目一度とかその他もろもろの目の向きが重要なテクニックの操作を動画で見せてください!
そしてこのブログで紹介させてください!!

今回参考にさせていただいたかつてのコンビ式ニッター、anemoneさんの体験談はとても参考になります。

目のかけ方が逆になっていることに今気が付いた人は、このまま直さずにいたらどうなるかが記事としてまとまっていて非常に分かりやすいので一読をオススメします。

anemoneさんの記事のコメント欄にも知らずにコンビ式になっていた人のコメントがあり、それもなかなか面白いです。

「アメリカ式」でも「フランス式」でもない、私は「何式」だったのか | knitlog
「フランス式」vs.「コンビ式」:メリットとデメリット | knitlog
【編み地比較】「コンビ式」ニッターに明日はあるか? | knitlog
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