編み物に欠かせない編み糸。本当にたくさんの種類があります。
例えば冬に大活躍するウールは羊。
アルパカはそのままアルパカ。
モヘアはアンゴラ山羊など。
その中で、今回着目するのは羊です。
羊にもたくさんの種類があり、わたしがよく耳にするのはメリノという種類です。
さて、メリノ種以外にはどんな種類の羊がいるのだろう。
種類によって編みあがりの違いはあるのだろうか。
ふと気になって調べてみました。
そこで今回は、わたしが興味をそそられるままに調べた、羊の種類と特徴、用途について紹介します。
羊の種類はどれくらい?
わたしも大好きなウール。
ウールとは、みなさんもご存じの羊です。
表記上は同じ「ウール100%」でも、手触りがまったく違いますよね。
それは加工によるところも多いのでしょうが、羊の種類によっても全く異なります。
では、どれくらいの種類の羊いるのでしょうか。
哺乳類、偶蹄目、ウシ科に属するこの羊から採取されるウールは、有史以前から今日に至るまで、人類の生活に大きく貢献してきました。この羊の種類は 3,000余種といわれています。
長尾商事株式会社
3,000余種!?
想像していたよりいっぱいいます。
では、編み糸や他の繊維に活用できる種類には、どんな種類があるのでしょうか。
先ほど引用させていただいた長尾商事株式会社さんによると、
1)メリノ種
2)その他
えらくざっくりと分けられてますね。
確かに毛糸のラベルでは「メリノウール」という表記をよく見かけます。
また、毛糸ではなく衣料品の成分表示でもよく見かけます。
ということはメリノ種は衣料品に最適なのだと推測できます。
メリノウールについて
原産はヨーロッパのイベリア半島(ポルトガル、スペイン)。
原種は西アジア産で、古代から中世にかけてフェニキア人、ローマ人、ムーア人によって品種改良されたもので、1300年頃のカスティーリャ(スペイン)で現在のメリノ種が登場します。
毛質が繊細で、毛色は白く染色がしやすいことが特徴です。
ウールの中でも、メリノ種の羊の毛を原料としたものがメリノウールということですが、一言でメリノ種と言っても、さらに以下のように分類されます。
- オーストラリアメリノ
- フランスメリノ
- ニュージーランドメリノ
それではそれぞれのメリノ種の特徴を、もう少し深く掘り下げてみましょう。
オーストラリアメリノ
メリノ種は世界各地に分布していますが、現在の羊毛生産量のトップはオーストラリアです。
1797年に、イギリスの植民地だったころに、イギリス陸軍大尉のジョン・マッカーサーが南アフリカから、スペインメリノを8頭買い付けたことが始まりと言われています。
8頭から始まり現在では、オーストラリア中でも75%がメリノ種。
オーストラリアメリノは、他の国のメリノ種とは違った特性を持っていて、スペイン・メリノに交配を重ね、オーストラリアの環境によく適応できるようにしました。
結果、たくさんある羊毛の中で、最も細く、伸縮性や弾力性優れた羊毛になりました。
丈夫でしなやかなので衣料用に最も適した羊毛がオーストラリアメリノと言えます。
さらに、オーストラリアメリノの中で繊維の太さによって三つのグループに分けられています。
ファインメリノと書いてある毛糸のラベルは、確かに見たことがあります。
フランスメリノ
1852年の統計では、フランスには3,300万頭の羊がいました。
しかし、農作物の増産や飼牛への転換、戦争などで減少を続け、2017年には700万頭位になりました。
フランス・メリノは品質が安定せず、品質のよい羊毛ができる率が高くありませんでした。
これは、冬期に小屋に入れて飼育することが多いので、敷藁等の混入が多いためです。
メリノタイプの羊毛はフランス羊毛のうち、15~20%程度。
小規模の飼育農家が全国に分散しているため、品質が多種多様で、一件あたりの数量が非常に少ないです。
特殊な紡績糸原料として希少価値はありますが、供給量が少ないことから「幻のウール」と呼ばれています。
ニュージーランドメリノ
ニュージーランドと言えば羊です。
羊見たさに、学生のころファームステイに行きたいと思ったほどです。
(学生の頃には資金不足で行けず、社会人になっても資金不足でいまだ行けず)
やはりニュージーランドの羊の数はすごいです。
2018年の国勢調査によると、人口約487万人。
対して羊は約2千720万4500頭。
一人当たり羊6頭いる計算(この計算必要?w)。
ニュージーランド南島の丘陵地帯で羊は多く飼われていますが、メリノウールの産毛量はニュージーランドウール全体の5%程度で多くありません。
現在ニュージーランドで飼育されているメリノは、長くて細い脚を持った軽量のメリノが多く、他の羊に比べて成長が遅いことと出産率が低いこと、雄のみならず雌でも1割内外は角をもっているのが特徴。
その他の種類
ここまではメリノウールについて調べてみました。
ではメリノ種以外の羊にはどんな種類があって、どんな製品に適しているのでしょうか。
※一応それぞれの羊種にイメージ画像を入れていますが、わたしには見た目で品種は判断できないので、あくまでイメージです。
ロムニーマーシュ(ロムニー)
※画像はイメージです。ここで紹介するロムニー種と同一かは不明です。
イギリスのケント州ロムニー原産。
先ほどニュージーランドメリノの項で、メリノウールはニュージーランドウール全体の5%程度と言いましたが、ニュージーランドではこのロムニーが45%を占めています。
肉用種と紹介されることもありますが、カーペットに適した毛であり、日本のカーペット用の羊毛では70~80%を占めています。
毛肉兼羊種です。
余すところなくいただいています。
ドライスデール
※画像はイメージです。ここで紹介するドライスデール種と同一かは不明ですが、このような角が特徴の一つです。
こちらもニュージーランドの羊。
主に羊毛のために飼育されていますが、食用としても人気があるようです。
(人気って、消費者?生産者?)
ロムニーの中で特にヘアリーな羊のみを多年に渡って交配を続けてできた改良種。
直毛で色毛の混入がないのが特徴。
コリデール
※画像はイメージです。ここで紹介するコルデール種と同一かは不明です。
またまたニュージーランド原産。
メリノ種とリンコルンの交配によって生まれた改良種。
毛肉兼羊種。
かさ高でふんわりとして光沢も良く、繊維の太さや繊維長からも、手編み毛糸などに向いています。
コリデールなのでしょうか、ロムニーマーシュなのでしょうか。
ブラックフェース
※画像はイメージです。ここで紹介するブラックフェース種と同一かは不明です。
イギリスの山岳地帯に生息する、その名のとおり黒い顔の羊。
毛足が長く、太く、手触りが堅いのが特徴。
毛の白と顔の黒のコントラストが素敵。
ペレンデール
※画像はイメージです。ここで紹介するペレンデール種と同一かは不明です。
ニュージーランドのマッセイ農科大学のジョン・ペレン教授によって作られた品種で、ロムニーマーシュの雌羊とチェビオットの雄羊の交配による改良種です。
ロムニーマーシュより細く、フリースにコシがあり弾力性に富んでいるのが特徴。
クープウォース
※画像はイメージです。ここで紹介するクープウォース種と同一かは不明です。
1968年に初めて純血種として認められた羊種類。
他の羊に比べて成熟が早い上に、ふんわりとして質の高い羊毛が特徴です。
繊維業界でも重宝されているとか。
ニュージーランドで飼育されている羊の20%はこのクープウォースです。
※当記事でのニュージーランドの羊種の割合については、参考元によって数値が異なっていましたので正確な割合とは言い切れません。統計を取った時期によるのかもしれません。
まとめ
編み糸の代表とも言えるウール。
原料の羊と人間の関わりがすごく古いことを知って、妙に感動してしまいました。
紀元前2000年ごろのバビロニアはウールと穀物と植物油の三大産物によって繁栄した。バビロンの名は「ウールの国」の意味であるとする研究者もいる。
ウィキぺディア ヒツジ
紀元前2000年の日本といえば、縄文時代。
そんな頃から羊と人間は密接に関わっていたんですね。
はぁ…。
なんというか、深い…。
そこそこに歴史が好きなわたしとしては、とても有意義なレポートになりました。
参考
フリースと聞いたらユニクロを思い浮かべますよね。
1998年に1,900円でフリースジャケットが販売されてから誰もが知るようになりました。
現在のフリースはポリエステルでできていますが、もともとは「1枚(一塊)の毛皮状になったもの」をフリースといいます。