編み物初心者さんは気をつけて!正しくない情報に振り回されないために

編み物初心者

この記事は2023年1月20日に公開した記事をリライトしました。

先日Twitter(現X)で「あ、これはちょっと火傷するなぁ」と思う編み方紹介の動画の存在を知りました。

その動画の主旨は編み地が整わない人へ向けたハウツー動画なのですが、動画で採用されている編み方は編み物に精通していないと大変な目にあう編み方をしているのです。

編み物において初心・初級の人だと、その情報をそのまま使っても大丈夫なのか判断できませんよね。

今回は、編み物に関するノウハウやハウツーのその情報が

「本当に自分が採用しても問題がないか」

を判断できるようになるためのヒントをお伝えしたいと思います。

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ちょっと待って!その編み方のままでは複雑な模様もセーターも編めません

その動画は「編み目が整わない」「編み目がきつくなる」というお悩み解決を目的とするハウツー動画でした。

話の内容のすべてが間違いというわけではないのですが、話している内容を聞く限りハウツーを発信するには圧倒的に編み物に関する知識が足りない人の動画だと思いました。

どんな編み方なのかというと、それは【コンビ式】や【おばあちゃん編み】と呼ばれている編み方です。
注:間違いということではなく、編み物の特性や理屈を理解できていない人は使わない方が良い一種の高等技術です。

この編み方の1番の特徴は、針にかかっている編み目の向きが逆になっていることです。

この編み方は編み物警察の格好の餌食になります。

それこそ、あらゆる困難を乗り越え、しっかりとした知識を持ち、様々な制作実績があったとしても、編み物警察の餌食になりやすいです。

それはさておき、あくまで日本の編み物業界で【正しい】とされる編み目の向きは、ニットマルシェで毎号「編みはじめる前に知っておきたいこと」のコーナーの「正しい編み目の状態」でイラスト付きで記載されていますので、お手元にニットマルシェがある方はそこで確認できます。
(素材写真作ろうと思ったけどちょっと忙しいので省きました)

動画の編み方は、平編み(往復編み)のメリヤス編みで紹介されています。

奇数段:表編み/左針にかかっている目の奥側に右針を入れます(これが間違い)
偶数段:裏編み/コンビ式の裏編み(中上級・知識人向け)

偶数段の裏編みで目の向きが逆になっているので、奇数の表編みで【正しい】とされる、目の手前側に針を入れて編むとねじれてしまいます。

このねじれを解消するために、目の奥側に針を入れる編み方をします。

「結果的にメリヤス編みになるんだから良いんじゃない?」

と思いますか?

この編み方は、平編みの時にしか使えません。
輪に編むとねじり目になってしまいます。

他にも初心者を含め知識の少ない人がこのまま進んでいけば、いずれ問題が発生します。
その問題については後述します。

ちなみに、冒頭の「編み目が整わない」「編み目がきつくなる」というお悩みは以下のよう解決できます。

編み目が整わない:かける糸のテンションを一定に保つ
編み目がきつくなる:針先で編まない

です。

動画ではかなりゆるゆるに目をかけていましたが、その方法では編み目の大きさが安定しません。

針の太さを利用して、かける糸のテンションをほどよく引き締めた方が編み目が整います。

どうしてもキツく編んでしまう人は、糸のラベルに記載されいている推奨針サイズよりも太くするのが良いでしょう。

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間違えて覚えた先に発生する問題とは

ここからは独学でコンビ式(おばあちゃん編み)で覚えしまった場合に、どんな問題が起こるのかを考えてみます。

コンビ式教わり、教えてくれた人が様々な模様や作品の制作実績がある場合は、その人に助けてもらいましょう。

今回話題にした動画で学び、間違って覚えた表編みと裏編みでメリヤス編みのマフラーを完成させたとします。

おそらくこの時点では表編みと裏編みを間違えた方法でキレイに編めるようになったことでしょう。

さて、次はセーターを編みたいぞ。

となったとき、この動画では出てこないねじり目や、かけ目、右上二目一度、左上二目一度が出てきます。
もしかしたら中上三(もしくは五)目一度も出てくるかもしれません。

これまで知らなかったテクニックを習得するために、インターネットで検索します。

すると棒針にかかっている目が逆向きになっていますね?

さぁ、正しい編み方をしている人の動画を見ながら、自分の間違った糸のかかり方をした状態でこれらの操作ができますか?

中・上級者ならできるでしょう。
目の向きを修正すればよいこと知っているから。
(裏から見たときの二目一度は向きを替えますしね)

でも作り目と表編みと裏編みと伏せ止めしかやったことがない人だと、どの動画を見ても、どの基礎の本を見ても、自分の針にかかっている目が見本と逆になっているから、そこで手が止まってしまうのです。

間違った方法で覚えていると自分と同じ悩みを抱える人が身近にいないから、解決の糸口を見つけることができません。

だからこそ、基本はしっかりと正しく覚える必要があるのです。

母国語が日本語で日本在住ならば、まずは多くの日本人が使う編み方で編むようにしましょう。

もし目が逆向きの状態から、裏から見た右上二目一度・左上一目一度、中上3目一度など、問題なくやれているという方がいたらお知らせください。
当ブログで紹介させていただきたいです。

なお、コンビ式と気づかずにずっとコンビ式で編んできて、あるときに壁にぶつかった人の経験談を紹介しておきます。

「アメリカ式」でも「フランス式」でもない、私は「何式」だったのか | knitlog
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一番信用できるのは大手出版社の基礎の本

冒頭で「編み物において初心・初級の人だと、その情報をそのまま使っても大丈夫なのか判断できませんよね。」とお話ししましたね。

では確実に「これの情報はそのまま使って大丈夫」と言える情報源のことをお話ししましょう。

それは本です。

なぜならば、編み物のプロが書いて、プロが校正しているからです。

本はページ数など情報を載せる場所に限りがあるので、優先順位をつけて編集の際に削っていますが、最低限重要な情報は載っています。
注:最低限必要な情報というのは「編むことに関しては」と付け加えておきます。チャックの縫い方や水通しのことなどは載っていないことは多いです。

しかし、個人運営の動画やブログ(このブログも個人運営です)は、第三者かつプロの校正は入っていません。
※有名な手芸メーカーのOG、OBであれば信用してOKだと思います。

ブログや動画の運営者がそもそも間違っていたら、間違ったまま自分も覚えてしまうことになります。

でも基礎の本を見ておけば「これはおかしいな」と気がつくことができますので、世に溢れる編み物の情報が自分にとって有益かどうかを見極めるためにも、基礎の本を最低1冊手元に置いておきましょう。

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まとめ

編み物は基本的に自由であり、正しいとか間違いとか言いたくないと思っています。

だからこそ今回の記事の題材にしたあの動画には「どうしたもんか」とモヤモヤしました。

あの動画のUP主に、あの編み方でたくさんの制作実績があって、しかもハイクオリティならもちろん何も言えませんが、そのへんが見えないんですよね。

なのであれを見て編み物を始めちゃった人の今後を考えたらちょっと黙っていられなくなりました。

あの動画のおかげで間違えた編み方を覚えてしまった人たちのために、今後出合うであろうあらゆる技法のフォローは、動画のUP主はしないでしょうから。

正しいとか間違いとかはあまり言いたくないけど、あの人の場合は間違いだとはっきりと言います。

あのやり方で編み物を始めてしまう人がいたら今後絶対に詰むから。

編み物の経験を積んでいって新たなノウハウやハウツーを知りたくなったときに、正しい情報を見つけるためにも基礎だけは正しくで身につけてほしいと思います。

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