過去に【100均のかぎ針でも編めるの? 未経験者が編んでみた】という記事で、100円のかぎ針で編み物を始めたい人に向けて記事を書きましたが、今回も100均シリーズです。
今回は、かぎ針編み歴20年の経験者の視点で「結局100均のかぎ針ってどうなの?」と思いまして、改めてわたしが検証してみました。
前回のおさらい
改めて言いますが、わたしは道具にはお金をかけた方が良いと考えています。
ですが少ないお小遣いからやりくりしないといけない子に「お金がないから編み物ができない」と諦めてほしくないと思ったので「100円じゃ無理よ。」と言わないために検証をしてみました。
使ったものはダイソーのかぎ針です。
結果としては編めます。
編めるけど、手が疲れやすいのと「いくら練習しても全然きれいに編めない!」と、編み物をあきらめちゃう人がいるかもしれません。
という結論です。
しつこいようですが、編み物に限らず道具にはお金を出す価値があります。
もし安い道具を使っていて「疲れるなぁ」とか「上達しないなぁ」と思っていたら、ぜひとも道具をランクアップしてみてください。
100円のかぎ針とアミュレの違い
前回は編み物未経験の夫に協力してもらって、100円のかぎ針とアミュレのかぎ針の6/0号で編んでみた感触を伝えてもらいましたが、今回はかぎ針編み歴20年のわたしが、もう少し詳しくかぎ針のスペックを調べてみました。
今回は前回とは違う号数の7/0号で比較します。
握った感触の違い
グリップが硬い。アミュレのほうが若干柔らかい感じ。
そして確かに100円のかぎ針にはバリがあります。
バリについては過去記事の画像を参照してください。
でもわたしが握ってみた感じでは、バリは指に当たらないので気にならないです。
針の部分は、100円の針はつややかで凹凸がなく、指で触るとツルツル・キュッキュという感じです。
比べてアミュレはさらさらしていて、細かい凹凸があるように感じます。
編みやすさの違い
では実際に編みます。
編み方は前回の検証のときと同じ細編みのコースターがいいのかもしれませんが、なんだかそれだとつまらないので、細編みのモチーフを編みます。
※毛糸だま 2018 vol.177掲載
感想…。
イライラする。
そのイライラポイントがこちら↓
- かぎ針の頭が100円のほうがループから引き抜くときに引っかかる
(夫も同じことを言っていた) - 針の滑りが100円のほうが悪く糸が引っかかる
もう、結論を出すにはこの2点だけで充分。アリかナシか、ならナシです。
では実際に針の頭はでかいのか?
針の部分の滑りはどうなのか?
もう少し細かく調べてみます。
針のスペック
前述のイライラポイントは、あくまで個人的な感覚的です。
では実際にはどうなのか。
やはり100円のかぎ針の方が大きいです。
その差はなんと、1mm。
そんなに大きければ同じ号数でも、編みあがりのサイズに差が出るはずです。
もし普段使っているかぎ針を、他の編み途中のものと一緒にしまいこんでいて(こういう人結構います)、目の前に100円のかぎ針があってそれで編んだら、ゲージが大きく狂うことになりますね。
ここで大きな疑問。
本当に同じ針サイズなの?
ということで、針軸を測りました。
さすがにここは同じ太さでした。
そうですよね、ここが違ったらそもそも号数が違ってしまいますね。
針のすべり具合
イライラポイントの二つ目「針の滑りが100円のほうが悪く糸が引っかかる」ですが、これはどういうことかと言うと、例えるなら汗かいたときに履くストッキングみたいな感じです。
汗をかいて脚が湿ったことによって、ストッキングが肌に張り付いて履きにくくなるときがありますよね?
そんな感じです。
「針の部分は、100円のはつややかで凹凸がない。アミュレはさらさらしていて、細かい凹凸があるように感じる。」と言いました。
つややかで凹凸がないならむしろ滑りがよくなりそうなものですよね?
でも本当に、ここが引っかかるのです。
これはあくまで想像ですが凹凸がない分、糸との摩擦係数が高くなりそのことによってひっかかるようになるのかと。
※写真を撮ってみましたが視覚では伝わらないので、機会があったら触ってみてください。
さて、これが実際に100円であんだモチーフです。
たったの4段でも仕上がりサイズに差があります。
100円:直径4.7mm
アミュレ:直径4.2mm
4段で5mmも差が生まれました。
大きなものを編んだときには、もっと大きな差になります。
編み初めにしっかりゲージをとっていても、うっかり途中で使用する針を変えてしまったら、たとえ同じ号数でも別人が編んだくらいにゲージが狂いますね。
ヘビーなクロシェッターさんならおなじ号数のかぎ針をいくつも持っている人はいますが、予備として100円のかぎ針を持つことはお勧めできません。
まとめ
やはり100円は100円のクオリティだと思います。
今100円のかぎ針を使っていて不自由をしていないなら、それはそれでいいと思います。
合う道具は人それぞれですから。
全体的に見たら、近年の100均は「本当に100円?」と言いたくなるほどの高いクオリティとなっています。
ですがこの状況って日本としてはよくないことだと思います。
とある経済学者が言っていました。
「100円均一が30年間100円のままなのは異常なことです。」と。
日本人としては複雑です。
要は日本の経済力が低下しているということだからです。
でも、毛糸や編み物の道具も手頃に手に入るようになったことは、編み物会としてはチャンスだとも言えます。お小遣いの有無に限らず、安価で済むならとっかかりやすくなるからです。
お高めの糸を奮発して買うのもの大好きだけど、100円ショップでかわいい糸をみると楽しくなっちゃうし、やはりお小遣いが少ない人にはありがたいことです。
このまま100均の商品のクオリティがよくなると、老舗の糸・手芸品メーカーが倒れてしまうのではないかという懸念はあります。
だからこそ技術が成長したら、お小遣いが増えたら、少しお金をかけるからこそ出会える道具と糸を使って編み物を楽しんで欲しいと思います。