編み物と言えば、いつぞやまではわたしの中ではウール(羊)というイメージでした。
しかし、近年いつのまにかわたしの編み物人生に入り込んできたヤツがいます。
それがアルパカ。
アルパカを知ったのは、株式会社クラレのCM「ミラバケッソ」。
「なんだこの変な動物は。」
これがはじめてアルパカを見たときの印象でした。
それがいつの間にかわたしの編み物人生に当たり前のように登場する、もはやお友達的な存在なりつつあります。
今回は、この変な動物について調べてみます。
アルパカの生物的特徴
アルパカは南米原産のラクダ科の動物。
ペルーやボリビア、アルゼンチン北部の海抜およそ3,500~5,000mのアンデス高地で放牧されていた伝統的な家畜です。
常に群れになっていて、現地では1年中放牧されています。
インカ帝国時代(およそ1200年~1533年)から飼育されていましたが、現在ではアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドでも飼育されています。
ちなみに、南米の南部にはほとんどいません。
アルパカの世界中の頭数は約400万頭。
体長(頭胴長)約2m、体高(肩高)約0.9〜1.0mで、体重は約50~55㎏。
妊娠期間は11か月で一度のお産で一頭の子どもを産みます。
反芻動物で、短い草を千切って食べます。
唇がよく動きます。
鳴き声は「ふぇー」とか「ふーんふーん」。
時速40kmで走ります。
結構早いですね。
法定速度を守っている原付よりも早いです。
アルパカと人間
インカ帝国では、医薬用、宗教儀式用として使われていました。
(儀式っておどろおどろしいやつ?怖いから調べません。)
現代ではアンデスの繁殖儀礼の儀式でアルパカの子どもが使用されることがありますが、現在は多くの場所でアルパカ牧場、アメリカではペットとして飼育されています。
日本にもアルパカがいる牧場や動物園が増えましたよね。
なんと東京のオフィス街、大手町にもいます。
アルパカのサブ的な役割
体毛の利用が主ではありますが、荷物運びに用いる場合もあります。
1回に運べる荷物の重さは50kg。
日本の在来種の馬ならば、昔話の絵を見ると米俵2、3俵積んでいるので、少なくとも100キロは積めますね。
ラクダなら専用の鞍を使って200kg、場合によっては500kgも積めるとか。
ラクダがすごいのか、アルパカが弱いのかわかりませんが、あまり重いものは積めないようです。
子どもならまだしも、大人だと人間が乗るのは無理そうです。
また、似ている見た目の動物にラマ(リャマ)がいまして、こちらも南米にいる動物ですが、ラマよりアルパカの方がおいしいので、食肉としても利用されます。
ペルーの崖っぷちに建てられたガラス張りのカプセルホテルがあるのですが、こちらのホテルのレストランでアルパカ料理が提供されることがあるそうです。
※いつぞやのテレビ朝日の旅サラダで放送されてました。旅サラダガール曰く美味しいそうです。
アルパカの主な役割
アルパカの生息地は寒いアンデス山脈の高地です。
厳しい環境を生き抜くために、防寒性に優れた体毛を持っています。
保温力はウールの約8倍とも言われています。
またカシミヤと良く似た毛であることから、しばしばウールとカシミヤと比較されますが、それらよりも丈夫で強いのが特徴。
その優れた防寒性や丈夫さから、衣服を作るなど寒い地域に住む人々の生活にはなくてはならない存在でした。
アルパカの毛について
アルパカの毛色は、茶、黒、白、ネズミ色の4種類に大きく分けられます。
さらに分けると25種類になります。
白色以外のアルパカは染色しづらいので、色のあるアルパカは飼育を敬遠される傾向にあり、絶滅が指摘されています。
年間のアルパカの繊維生産量は約4,000トンと言われていますが、他の動物繊維と比べるとかなり少ない数字。
例えばウールなら、上位三か国でいかのような生産量です。
オーストラリア:328,608
ニュージーランド:122,227
単位:トン
出典:GLOBAL NOTE
また、高級繊維として有名なカシミヤの生産量は5,000トン、アンゴラは8,500トン、モヘアは22,000トンと言われています。
よって、アルパカは希少な繊維と言われています。
アルパカの毛の種類
アルパカの毛の種類は2種類あり、それぞれの名前と特徴は以下のようになります。
スリ(Suri):さらさら、少しドレッドヘアのようにツイストしている
アルパカSURIって表記のラベル、ありました。
「Suri」ってなんだろうなぁ。って思っていましたが毛の種類だったんですね。
過去に編んだもので、ろくにラベルを確認せずモヘアだと思い込んでいたものが、実はアルパカSURIだったことがありました。
Suriに関して言えば、ラベルをしっかり見るまで気がつかないくらい、モヘアに似た手触りだと言えます。
アルパカの特徴
アルパカの毛には以下のような特徴があります。
- しっとりなめらかで肌触りが良い
- 美しい光沢
- 軽くて保温性が高い
- 丈夫で毛玉ができにくい
この特徴からすると、確かに寒い地方の衣服にぴったりですね。
また、さらに希少なのがベビーアルパカです。
ベビーアルパカは生後3ヶ月以内のアルパカの子どもの柔らかい毛だけを櫛ですいてとった、たった1回だけしか取れない貴重な素材です。
ですが大人のアルパカからも、全体のおよそ10%前後採取することができます。
ベビーアルパカの特徴は、繊維が非常に細かいのでアルパカ本来のしっとりした滑らかさに加えて、とても柔らかく仕上がります。
一般的に繊維が細いほど柔らかく、肌に当たってもチクチクしにくくなりますので、ベビーアルパカの毛糸で編むというのは、とても贅沢なことかもしれませんね。
繊維の細さを比較してみると、以下の様になります。
ベビーアルパカ:20.1~23ミクロン
オーストラリア・ミドルメリノ:20~22ミクロン
この数字を見る限り、ベビーアルパカとファインメリノまたは、ミドルメリノあたりが同等の柔らかさとなるのでしょうか。
冬物を編みたいときに「かゆくない糸」を探すならば、ファインメリノかミドルメリノまたはアルパカで探してみるのもいいかもしれないですね。
ちなみにこの記事で紹介しているスヌードは、ベビーアルパカ70%入っています。
手触りはしっとりと滑りがある感じで、チクチクしません。
まとめ
アルパカの毛糸はウールに比べて低価格で提供されることが少ないなぁと思っていましたが、調べてみて納得です。
生産量が少ないんですね。
これからアルパカの糸で編むときは、とぼけた可愛らしいアルパカに思いをはせていつも以上に丁寧に編みたいと思います。
参考