長年編み物をしてきたわたしですが、これまでに何度か自分の好きな形・編み地でデザインっぽいことをしてみました。
しかしここで気がついたことがあります。
それは「デザインしたいなら過去に編んだお気に入りのセーターをアレンジする方が確実」ということ。
今回は風工房さんデザインのベーシックなセーターを編んだ上で、わたし用のパーソナルパターンとして持っておくメリットを考えました。
お気に入りをパーソナルパターンにする2つのメリット
パーソナルパターンとは「着る人に似合う柄」という意味で使われることが多いようですが、ここでは「着る人の体型(骨格)に合うパターン」として話を進めます。(正式名称があるのか不明です。ご存知の方がいたら教えてください。)
メリット1 サイズの大きな失敗がない
誰かがデザインしたパターン(レシピ)で、自分が着たい(または特定の人へのプレゼント)ために編む人が多いと思います。
実際に身につける作品を編む場合はゲージをとって、着る人のために目数・段数を増減する方法で調整する人は多いです。
(たまにはサボることもありますけど)
帽子やマフラーなどの小物であればちょっとサイズ感が違うくらいでも実用化できますが、ウェアとなるとそうもいきません。
小さいと物理的に着ることができないし、大きすぎて着る人が不満を持つと結局着てもらうことなくクローゼットに封印されてしまいます。
自分用ならまだしもプレゼントに編んだのなら着てもらえないとがっかりですよね。
でも過去に編んで成功したものならサイズの失敗はありません。
メリット2 アレンジがしやすい
元になるパターンと仕上がりサイズがあれば、それを元に「もっと大きく(小さく)」、「色はこの色で」など出来上がりを想像をするのは容易いですが、仕上がりサイズも模様も色使いも全て一から自分で考えるのはかなりハードルが高いです。
過去に自分の体で採寸して、仕上げたい数値を割り出して…。
という手順でオリジナルのセーターを編んだことがありますが、結局なんか気にいらずに部屋着にすらしていません。
どれだけ一生懸命に編んでも気に入らなければ着ないですし、それはもったいない。
だったら自分が過去に編んだお気に入りの作品を基準に丈、幅、模様などにアレンジを加えるだけでも別のものに生まれ変わり、デザインをした満足感が得られるはずです。
※誰かのパターン(レシピ)をほんの少しアレンジした程度でパターンを公開したり販売するのは著作権的な問題が発生する可能性があるので注意してください。
こうやってメリットをあげると2つしかないですが、この2つのメリットがすごく重要だと過去のパターン(レシピ)なしで編んだものを思い起こして気がつきました。
パーソナルパターンとなる作品を編む
どんなデザインがパーソナルパターンにふさわしいのかを考えました。
- デザインがシンプル
- 自分がよく編む太さの糸
デザインが複雑だと自分でアレンジが難しくなるし、自分がよく編む太さの糸ならばその太さが「好き」で選んでいるはずなので、アレンジするときにも応用しやすくなります。
わたしの手持ちの糸で上記の条件を満たすちょうど良いパターン(レシピ)がニットマルシェ Vol.24に掲載されている風工房さんがデザインした、かのこ編みのラグランセーターです。
ただのメリヤス編みだと行きはずっと表編み戻りはずっと裏編み、ガーター編みだと延々と表のみ。
わたしは裏編みがずっと続くのが苦手です。
表編みだけだと飽きます。
かのこ編みだと程よい指さばきで編んでいて心地いい。
さらにわたしはラグラン線が入るデザインが好きですし、すくいとじの作業も好きです。
好きな作業が入っているものならシンプルなデザインでも飽きずに一気に編むことができます。
パーソナルパターンをデザインに活かすためにしておきたいこと
パーソナルパターンとなる作品ができあがったら実際に着てみて納得できたらOKとします。
これからパーソナルパターンをどう活かしていくかを考えます。
自分がこれまでの納得できなかった作品の共通点はサイズ感と体のラインを拾ってしまうこと。
ならばデザインをするときは「どうしたらこの問題を解決できるか」を考えるようにします。
問題を解決する方法はいくつもあるでしょう。
素材、模様、色、身幅…。
そういう問題の解決方法も誰かがデザインしたパターン(レシピ)を編んでいく中で発見できるはず。
編みながら「自分ならこうしたいな。どんな意味があってこうしているのかな。」と考えながら編んでいくようにします。
まとめ
かつてわたしがグラフィックデザイン、Webデザインの仕事をしていたころにデザイナーとして尊敬していた上司に言われた言葉があります。
「美大に行っていなくても、デザインの専門学校に行っていなくても素晴らしいデザイナーになることはできる。そのためにはまず良いと思ったデザインをたくさん真似をしよう。デザインは無から生み出すものではなくて、これまでのモノの新しい組み合わせなんだよ。」
自分でニットのデザインをすることにも同じことが言えます。
これまでは自分の身体を採寸したり、ゲージをとったり、アプリを使って計算したり『0』から完成させることにとらわれていましたが、わたしにはちょっと早かったようです。
いつかは必ず今回編んだパーソナルパターンのセーターを基準に、たくさん編んだ誰かの素敵なデザインを組み合わせたりしてパターン(レシピ)がない新しい何かを編んでみようと思います。
パターンなしでのセーターの編み方はこちらから。
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