編み物をする人はみんな「きれいに仕上げたい」と思っていることでしょう。
きれいに編むこと自体はもはや経験値によるものがありますが、ほんの少しの工夫で出来栄えは変わります。
今回は、編む技術そのもののコツではなく、ちょっとしたことで仕上がりに違いが出る、わたしのこだわりを紹介していきます。
ちなみに棒針をきれいに編むコツを知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
画像付きで丁寧に紹介してくれています。
編みはじめのコツ
編みはじめというのは、作り目のこと。
作り目は一番初めに行うことなので、作り目が気に入らないと納得できるまでに何度も作り直します。
あまりにも何度も解いて作り目をして、を繰り返すと意図がぼそぼそになるので慎重に丁寧に行います。
コツその1.指でかける作り目は表と裏にこだわる
長いことわたしは特定のデザイナーの作品をレシピ通りに編んでいたので意識していなかったのですが、風工房さんの【今日も編み地、明日も編み地 風工房の編み物スタイル】を読んで気が付いたことがあります。
指でかける作り目の場合、作り目の表が仕上がりの表になるようにデザインされていたことです。
作り目の表裏なんてそれまで意識していなかったし、なんなら作り目の表が仕上がりの表になるのが当たり前だと思っていました。
そうではないことを知ってからは、作り目の裏が仕上がりの表になることが気になってしかたありません。
以下の三國万里子さんのアランカーディガンは、レシピ通りに編むと作り目の裏が仕上がりの表になるのですが…。
作り目の表が仕上がりの表になるようにアレンジしました。
英文パターンで編むことが増えた今では、作り目の裏が仕上がりの表になることも多いということが分かってきたので作り目の表が仕上がりの表になるように、調整するようにしています。
表を表にしても、裏を表にしてもどちらも正解でそれは個人の好みですが、わたしは表にこだわります。
コツその2.輪編みの最初の一目にこだわる
輪編みをするときにレシピどおりの数を作り目して、輪にすると最初の一目が緩んでしまうの、気になりませんか?
これを解消する方法が、一目多く作って編みはじめを左上二目一度する方法です。
作り目の最初の一目はどうしても緩んでしまいますが、左上二目一度をすることで作り目の最初の目が隠れるので緩みが目立たなくなります。
以前に自分で誇らしげに記事にしていながら、この方法(↑)は間違いであったことを最近知りました。
【Invisible Join In The Round On Circular Knitting Needles】という動画に出会いまして、輪針で輪編みするときに最初の作り目が緩くならない方法を知ることができたので、こちらを紹介します。
以前に提唱していた左上二目一度した方法は、糸によってはうまくいっていたのですが、この画像だとあきらかに「二目一度」して余分な目が見えていますよね。
これを誇らしげに紹介していた過去の自分をぶん殴りたくなります。
(/ω\)
糸始末のコツ
みなさん、糸始末は好きですか?
わたしはあまり好きではありませんので、できるだけ少なく済むようにしています。
できるだけ糸始末を少なくする方法は、糸端をなるべくとじ・はぎに使うことです。
コツその3.糸の付け足し方にこだわる
糸の付け足し方として一番有名なのは、はた結びでしょうか。
はた結びの特徴は、結び目が小さくて解きにくいことです。
小さいと言っても、結局は編地に結び目があればすぐにわかります。
また、段の途中で糸始末をしないといけなくなりますが、うまいこと始末をしても、どうしても始末した場所がわかってしまいます。
これがすごく嫌なのです。
そこで以下のようにしています。
段の始めの一目(編み地の端)を、これまで編んでいた糸と新しく付け足す糸と一緒に編みます(同じ色の糸の場合)。
こうすることで糸始末は、例えばセーターの身頃であればすくいとじに使えます。
とは言え輪編みの場合は、編み地に端というものがありません。
その場合は以下のようにしています。
1)編み初めの段が横(わき)の場合
段の初め前後2~3目ほどこれまで編んでいた糸と新しく付け足す糸を合わせて編む
2)後ろ中心または前中心の場合
基本的には1)と同じ。
ただしスヌードやウェアの襟の場合は、後ろ中心で1)の処理を行う。
段の始まりが前中心のセーター場合は、横または後ろ中心で1)の処理を行う。
わたしが守っているルールは、どーんと目立つところでは処理をしないということです。
身頃であればわき下。袖であればそで下。襟であれば後ろ中心または横。と言う具合です。
コツその4.糸端の残りの分量にこだわる
これはとじ・はぎの作業が必要な場合のお話。
例えば作り目で糸端があまり残らなかった場合、とじるために新たに糸を付けますよね。
とじるために付け足した糸と作り目の糸端で、糸始末が2倍になります。
糸始末の作業が増えるだけでなく、始末した部分がごろつくようになります。
また、太めの糸で編んでいると着心地も悪いし、見栄えにも影響します。
こうなることを避けるために作り目の段階でなるべく長く残るようにします。
例えば身頃の作り目ならば、作り目で必要な長さは仕上がりサイズのおよそ3.5倍くらいですが、それよりも長く残します。
そして残した糸で、前身頃と後ろ身頃をすくいとじします。
※ものによっては巻きかがりのときもあり。
編んでいる途中で糸を足す場合も、必要ならばこれまで編んでいた糸または、付け足す糸の端を残します。
下方向にとじて、上方向にもとじる場合は、両方の糸を長く残します。
どのくらい残す必要があるかは、作り目のときにどれくらい残したのかと、仕上がりサイズに対して必要な長さはどれくらいかで決まります。
とじ・はぎ等にどれくらいの長さが必要かまとめてあるので、こちらを参考にしてください。
おまけ.段の途中で糸を足した時の糸始末のやりかた
避けてはいてもどうしても段の途中で糸始末をする必要があるときがあります。
そのときのやり方を紹介します。
と言いたいところなのですが、めったにこのような状況にならないので写真とかの素材をすぐに準備することができません。
なので、別の方の記事を紹介します。
こちらの例はメリヤス編みの場合ですが、模様によって表から目立たない糸の通し方は変わると思います。
例えばゴム編みやアランなどの場合、裏編みの前の目の表編み(裏から見たら表編みの前の裏編み)に縦に渡していくと表から見て目立ちません。
では、「他の模様の時はどうするの?」という話なのですが、この件に関してはわたしもまだ模索中です。
まとめ
なんとなくモヤモヤが残るけど「これはこういう物なんだ」と自分を納得させて、微妙なクオリティが当たり前になったりすることがありますが、少しの気づきでクオリティはまだまだ上げることができます。
今回の記事のことで言えば、わたしは輪編みの編み初めの目が緩むのが気になっていましたが、糸始末のときになんとかごまかしていました。
また、先ほども言ったように、わたし自身も模索中なことがたくさんありますので、ノウハウがまとまってきたら改めて紹介したいと思っています。
わたしのこだわりがみなさんのお悩み解決に役立てたらうれしいです。